2016年12月7日水曜日

お正月と家族関係

クリスマスとお正月。
年末年始のホリデー・シーズンは一年中で一番おめでたく、楽しい時期です。
家族や親族が集まり、お祝いの気持ちが高まります。

しかし、家族のストレスが最も高まるのもこの時期なのです。
楽しさの陰にある家族の辛さは、なかなか言い出しにくいものです。

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あけみさん(仮名)は、動悸(心臓のドキドキが苦しい)と不眠(布団に入っても寝つきが悪い)を主訴に相談にいらっしゃいました。よくお話を伺うと、その原因は明らかです。二世帯同居しているお義母さんと会った日に限って体調が悪くなります。

お義母さんはとてもキツい人です。なるべく普段は顔を合わせないようにしているのですが、時々ささいなこと、たとえば作った煮物が余ったからというようなことで電話してきます。本当は用事だけ済ませてすぐに戻りたいのですが、必ず長居させられます。
お義母さんは普段はよく気の付く人なのですが、ひとたび機嫌が悪くなると火がついたように怒ります。あけみさんは、お義母さんの前では何も言えず、ただ話を聞いているだけです。そのような日の晩には、必ず体調が悪くなります。

こんな取るに足らない事で相談に行くのもためらったのですが、あけみさんにとって、年末年始が一番つらい時期です。
お正月のことを考えただけで胸がドキドキしてくるので、思い切って相談してみることにしました。

あけみさんの悩みは今に始まったことではなく、結婚した当初からずっと続いています。

お義母さんは若いころ、とても苦労した人です。お義父さんは家庭を顧みない人で、お姑さんと小姑さんがいる中で、ひとり頑張って夫を育てました。その結果、夫はよい大学、よい就職をして、今の地位を築きました。夫との恋愛中はとても幸せだったのですが、結婚して家に入ってからは、苦労の連続でした。
お義母さんと距離を開けることができれば何も問題ないのですが、お正月が近づくと居ても立っても居られなくなります。

初回はあけみさんひとりで相談にいらっしゃいました。
あけみさんのご主人は仕事が忙しく、なかなか話し合うゆとりがありません。誰にも話すことが出来ない悩みを十分に語ることができただけで、気持ちが軽くなりました。

あけみさんが相談にいらっしゃったことは、ご主人にも話しました。ご主人も、あけみさんの気持ちは理解しているものの、どうすることもできません。次回は、ご夫婦でいらっしゃることを私から提案して、あけみさんも帰勇気を出してご主人と相談してみることにしました。

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2週間後に、ご夫婦がそろって相談にいらっしゃいました。ご主人は忙しくて難しかったのですが、あけみさんの説得が功を奏して、面談の時間を作ることが出来ました。

ご主人自身も、実は母親のことでとても悩んでいました。毎晩、帰宅したら、母親のところに顔を出すのですが、疲れて帰ってきて、そのことが苦痛でたまりません。早く切り上げたいのですが、黙って聞いているしかありませんでした。
優しいご主人は、あけみさんの悩みも十分に理解はして、済まないと思っているのですが、何もしてあげられません。

そこで、私から提案して、ご夫婦の年末年始の過ごし方を話し合いました。

毎年、年末はあけみさんとお義母さんが一緒におせち料理を作るのですが、今年は別々に作ることにします。その代り、ご主人とあけみさんが揃って、お義母さんの住居の大掃除を手伝うことにします。

元旦は親戚が集まり会食するのですが、今回は、幸か不幸か、喪中です。元旦の午前中にご挨拶だけ軽く済ませ、午後からは夫婦みずいらずで温泉旅行に出かける計画を立てます。子どもたちを連れていくか迷いましたが、子どもは残して、夫婦だけの旅行にします。

こんなことをしたら、お義母さんは烈火のごとく怒るのは目に見えています。
果たして計画通りに事を進められるか、あけみさんには全く自信がありません。
しかし、今回は夫も理解を示してくれて、夫のきょうだいともお義母さんのことを相談してみると言ってくれました。

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年末年始を楽しく過ごす秘訣集

  • 家族が久しぶりに集まるのは楽しくもあり、負担感も増えます。その気持ちを家族で共有しましょう。
  • 多くの家庭では、お正月は女性の負担が増える時期です。そのことを、男性は十分に理解しましょう。
  • 大掃除、ご馳走の準備・手配、年始の挨拶、年賀状など、たいへんな仕事を家族で分担しましょう。
  • 年末年始の過ごし方を、家族でよく相談しましょう。各人の気持ちを大切にして。
  • 今までにはなかった、新しい過ごし方を試してみましょう。
  • 家族と共に過ごす時間と共に、ひとりの時間も大切にしましょう。


お正月は伝統行事として、家族の繋がりを確認する時期です。今まで過ごしてきた習慣を大切にします。
その一方で、今は家族のライフスタイルも多様化しています。妻と夫、親と子ども、それぞれにとって楽しい過ごし方は微妙に異なるものです。そのことを家族でよく提案し合い、今までになかった新しい過ごし方を話し合ってみましょう。

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