2016年2月24日水曜日

ひきこもり脱出講座第二回の振り返り

ひきこもり脱出講座は連続6回の講座です。同じ参加者が6回参加するうちに、だんだんお互いに打ち解け、本当の家族の様子や本当の自分の気持ちを語ることが出来るようになります。
これは、第二回目に参加した後の参加者からのフィードバックです。

〇〇さんがとても変わられたことにびっくりしました。1回のディスカッションでこれほどまでに人は変われるものなのかと、とても感動しました。

そう。
1回目の時は、〇〇さん、「それは絶対に無理!」
と言ってましたものね。
それが、二回目の時は、何とか実行できました。
親がとてもよい感じで変化しています。

◇◇さんのお子さんが「死にたい」とか「死ね!」とかいう言葉を連発されている様子は、私もとても胸がつまされました。思わず、「お母さんの気持ちをそのままいえばいいんじゃないでしょうか!」と言いながら、涙が出てしまいました。
「親は子どもに死にたいだなんて言ってほしくない!」
「お母さんはあなたに生きていてほしい」
「学校なんて行かなくてもいいから元気で生きていてほしい!」
そう◇◇さんに言いながら、これは自分が子どもに言いたいのはこの言葉なんだと思いました。

とても良い涙でしたよ。
涙を流す方は辛いですが、とても共感した気持ちが相手の方にも伝わったと思います。
参加者の方々がお互いに共感し合い、その力をテコにして、みなさん前に進まれています。とても良いことです。

講座に参加されているみなさんとの話し合いと、田村先生からのお言葉で、私自身が少しずつ変われたように感じています。以前は「辛い、悲しい」などの気持ちが優先して、どうしたらよいのか考えることが出来なくなっていました。
しかし、今は自分や家族のことを客観的に見ることができるようになり、感情的に泣いたり落ち込んだりすることもなくなり、冷静に考えられるようになりました。
安心して「放す愛」で見守ることが出来るようになり、「子どもに何があっても、大丈夫!」という覚悟と自信もできました。
子どもにも以前のように指図しないで黙って待っていたら、子ども自身から自分の意思で行動するようになりました。親が変わることで、子どもも変化しているように感じます。

子どもに向き合う冷静さと自信を獲得されましたね。
それは、とても大切なことです。親が子どもに向き合う自信を得ると、子どももそれが伝播して、学校・友達・社会などに向かう自信を得ることが出来ます。


集団の中に入って、はじめて「自分」が見えてきて、人との差が明らかになり「自分」という存在がどういうものなのか、自分の役割や使命は何なのかと考えるようになると思いました。

2016年2月4日木曜日

子どもの心を育てる

ひきこもり脱出講座で参加者の皆さんから出た質問にお答えします。

質問)ひきこもりは心の成長の”つまづき”だとしたら、先生がおっしゃった「心を育てる」とは具体的にどうするのですか?

思春期には、子どもの心(万能的自我)から大人の心(社会的自我)に移行していくということはブログでも繰り返しお伝えしています。ふつうは意図しなくとも普通に成長するのですが、何らかの理由でそれがうまく成長できず、社会的自我が育たずに、十代後半以降になっても万能的自我から抜けきれない時、うまく社会に適応できずひきこもりになる場合が多くみられます。

では、どうしたらよいのでしょうか。親は何をできるのでしょうか?

それは、万能的自我から社会的自我への移行を支援することです。子どもは学校や社会の中での様々な人々と接することで失敗体験と成功体験を得ます。人と交わることが成長を促します。失敗して自信を失い、成功して自信を得ます。失敗しても挽回できるのだという自信が社会的自我への成長を促します。

ひきこもらず、普通に社会生活を営み、多様な人と接していれば人々と接する体験が自然に得られ、親がそれほど関わらなくても仲間や先生、地域の人々なと多種多様な人々と接する中で、子どもは自然と成長してゆきます。しかし、ひきこもってしまうと他者との関係性が遮断されてしまいます。残された人間関係は家族だけですから、家族が人間関係の体験を与えなければなりません。
その際に大切なことは、本人の中に芽生えてきた社会的自我に働きかけて下さい。子どもが強さやしっかりしている一面をキャッチし、それを承認します。

よく見られる間違いは、親が一生懸命子どもに働きかけるのですが、大人の心(社会的自我)ではなく、子どもの心(万能的自我)の側面に働きかけている場合です。弱さや甘え、依存などの子どもの心に承認を与えると、子どもの世界に安定して留まったままで、成長できません。ずっとひきこもっていることになります。

質問)先生がおっしゃった「子どもは親のエネルギーを求めている」とはどういうことでしょうか?

思春期になると勉強も人間関係も難しくなり、飛び越えなければならないハードルがたくさん出現します。ハードルを跳びこえるのはとても勇気がいります。思い切って跳んでも失敗して痛い思いをするかもしれません。でも跳ばなければ前に進めないこともわかっているから、とても迷い苦悩します。そのような時に親がプラスのエネルギーを与えます。それは、「跳んでもいいよ」と許可を与えることです。

子ども自身はとても迷います。もしかしたら、うまく跳べるかもしれない。でも失敗して痛い思いをするかもしれない、、、、いくら迷っても、その答えは出ません。跳んでみるしかないのですから。

そのように子どもが迷い、動けなくなっているときに、親は「前に進んでごらん。行ってごらん。動いてごらん。君なら出来るはずだ。痛くても構わない。」と指針を与えます。
親は、まわりから価値が与えられ、本人はその価値を試しながら取捨選択して自分自身の価値を作ることが出来ます。まわりから価値が与えられないと、自分(の価値)を作るネタが得られません。つまり大人の心へ移行できません。

親は子どもが跳ぶだけの力を持っているだろうと、子どもの潜在的な能力を信頼できれば、「やってごらん!」と跳ぶことを促します。その言葉に励まされ、子どもは思い切って跳躍を試みます。成功するか失敗するかなんて、跳んでみないとわかりません。子どもはとても不安です。その不安に対して、親が安心を与えます。

跳んだ結果、成功するかもしれません。親の力ではない、自分自身の力で跳べた成功体験が自信につながり、心がぐんと成長します。
跳んだ結果、失敗するかもしれません。自分はやっぱりダメなんだと自信を喪失します。その際に、親は「失敗しても構わない。失敗したら、もう一度挑戦すればよい。成功するまで何度でも挑戦してごらん。あなたが格闘している姿を、ここで見守っているから。」と伝えます。

決して、無理をさせてはいけません。失敗して傷ついたら少し休んで回復を待つことも必要です。焦らせてはいけません。親が焦ると子どもも焦ります。親が不安になると、子どもも不安になります。

しかし、いつまでも休んでいてはいけません。痛みがある程度回復したら、また立ち上がりましょう。親が安心すると、子どもも安心します。適当な時期を見計らい、「もう休んでエネルギーを再び蓄えられただろう。もう一度挑戦してごらん!」と親が促します。