2015年4月28日火曜日

親自身の壁と向き合う

ひきこもり脱出講座の参加者からのコメントを紹介します。

子どもにきちんと向き合えないのは、(1) 親自身の不安や、(2) 自分の子どもの頃の親との壁と向き合うこと、(3) 夫婦がお互いに遠慮なく向き合うことができていなかったのだとわかりました。しかし、どこからどうやって手を付けていいのか迷います。

壁の比喩(メタファー)で考えてみましょう。

(1) 親が子どもにきちんと向き合えない、、、
つまり親と子どもの間に壁があるのですね。本当は子どもに〇〇と伝えたい、伝えなくてはいけないとはわかっています。でも、うまく伝えられるだろうか、うまく伝わるだろうか、そもそも伝えても大丈夫なのだろうか、伝えたらプラスの結果にはならず、マイナスの結果が引き起こされてしまわないだろうか、、、、これすべてが親自身の不安ですね。

進展のない話がとても大切ですね。その中に同じように壁や不安を持っている自分が見えてきます。先を見通せない時に行動が止まってしまいます。うまくいくかどうか、上手にできるかどうか、という結果に注目していると、とても不安になります。しかし、現状をよく理解するためにはまず自分が何に対して不安を感じているかを第三者に言葉に出して説明したり、文字にして明確にすることが必要だと思いました。そして、不安から抜け出すためには、今なにができるかを考え、いろいろ行動を起こして不安を振り切る勇気と、失敗を受け止める覚悟を持つことだと思いました。

そうです。
ふだん、我々は自分自身の「不安な気持ち」に気づきません。「今、私は不安なんだなぁ!」なんて、普通考えないでしょう。それは、不安の渦中にいるために「灯台下暗し」、自分の気持ちなんか気づきません。でも、グループで自分の気持ちを話すと、上記のようなことが起きます。そうやって、自分自身の不安な気持ちに気づくことができます。気づいてしまえば、もうこっちのものです。

不安を取り去る必要はありません。不安は人が生きていくためにとても大切な気持ちです。たとえば、(そんなことありえませんが)「不安」という感情が欠如してしまった人を想定してみましょう。その人が高速道路で運転したらとても危険です。どこまでスピードを出しても不安を感じないなんて。つまり、我々は危険を察知して避けるために「不安」という気持ちを持っています。人が生きていくうえで大小さまざまの危険に出くわします。それを避けるために不安の感情は重要な役割を果たします。

だから、不安の気持ちを取り去るというわけではありません。自分で自分の不安に気づくと、その不安感をコントロールできるようになります。不安を乗り越えることもできます。子どもが成長するためには、ハードルを飛び越える不安を乗り越えなくてはなりません。不安の気持ちが強すぎるとハードルを飛べなくなってしまいます。不安は多すぎても少なすぎてもいけません。そうやって親の不安をコントロールすれば、子どもにきちんと向き合えるようになります。

(2) 自分の子どもの頃の親との壁
親が子どもにどう接するか。そんなこと、ひとつひとつ意識して考えていません。さまざまな場目に応じて、自然に親として動いているわけですが、実は自分の親が自分にどう接してきたかという記憶が根底にあります。気づいていなくても、自然に自分の親との体験を、自分の子どもに伝えています。
その記憶にシコリ、つまりイヤな記憶や、傷を抱えていると、その反動から子どもに伝えるべきことをうまく伝えられなくなってしまいます。
では、どうしたらよいのか。昔の記憶を消せばよいのでしょうか。いえ、その反対に記憶を呼び起こします。小さな出来事の記憶は自然に消えますが、大きな記憶は消えません。自ら意図的に消したいと思っても、逆に記憶に定着して残ってしまいます。
自分の親との壁の記憶を呼び起こして人に話してみましょう。それは、とても痛いことかもしれません。しかし、肩こりをほぐすように、その痛さを通り越せば、昔の記憶から解放されます。そうすれば、自分の親との記憶に左右されることなく、自由に自分の子どもに向き合うことができるようになります。

(3)夫婦がお互いに遠慮なく向き合えない壁
遠慮なく向き合ったらどうなるでしょう?
相手を傷つけてしまうかもしれない。
相手が怒って、自分が傷ついてしまうかもしれない。
もうこのことに関わってくれなくなるかもしれない。
それを避けるためには、パートナーに遠慮します。遠慮したほうが安全ですから。
そうすると、なぜか子どもにも遠慮してしまいます。遠慮した方が安全ですから。
すると、子どももまわりの世界に対して遠慮してしまいます。遠慮した方が安全ですから。そうやって、ひきこもります。
そのために、遠慮の連鎖を断ち切りましょう。
まず、できることは?
夫婦間の遠慮のパターンを崩して、一歩前に進んでみてはいかがでしょうか。

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