2014年6月11日水曜日

治るにはどれくらいかかるのですか?

Q) カウンセリングはどれくらいの頻度で通うのですか?

2-3週間おきに通う方が多いです。
緊急度の高い方、切羽詰っている方は毎週通う方もいます。
比較的落ち着いてくると、1ヶ月(4週間)ごとに通います。
2ヶ月以上間を空けると、継続性が薄れてしまうのであまりお勧めしません。

Q) 何回くらい通うと治るのですか?

1回の面談で、今までわからなかったことが理解できて、解決策が見つかる場合。
2-3回のカウンセリングで気持ちが晴れ、今まで悩んでいたこと・困っていたことが氷解する場合。
などもありますが、数としてはそう多くはありません。

平均すれば、3-4ヶ月間かけて、7-8回くらい通われる中で元気になっていかれる方が多いです。

人の心は奥が深いものです。そう簡単に変わるものではありません。
「変わる」というより、「心が成長する」あるいは「今まで気づかなかったことに気づく」という感覚に近いと思います。我々の経験を振り返っても、人に話を聞いてもらったから、誰かに「○○しなさい!」と言われ、その時は「なるほど」と思っても、そう簡単に人の心は成長するものではありませんね。しかし、人生の中で、ふとした相手の一言によって、自分の気持ちのありようが大きく変化する瞬間があるものです。そのような「成長のツボ」を探し出すまでに、それくらいの期間がかかります。

でも、中には半年、あるいは1年以上かけてゆっくり成長する方もいます。
たとえば、長い間ひきこもっているような場合は、回復までの道のりも長くなります。
「もう回復なんか無理だ!」と思い込んでいる間は回復しません(当たり前ですが)。
その場合でも、しばらく通っていると、「もしかしたら回復できるかもしれない!!」と考えが変わり、希望が見えるようになります。そうすれば、必ず回復できます。

回復するはずがないと思い込んでいるうちは、絶対回復できません。

本人が相談に来ないと言い出しました

昨日までは、本人も相談に行くことに同意していたのですが、今朝になって体調が悪くなり、相談に行けなくなりました。今日の相談をキャンセルします。

という連絡を時々いただきます。
これは、本人の気持ちを考えれば、至極当然なことです。
本人の気持ちはYesとNoの気持ちが両方入り混じっています。

Yes、つまり親から言われれば相談に行くべきというのはよくわかる、このままでは良くない、どうにかしたい、相談に行こう、、、という気持ちです。

Noとは、やはり行きたくない、行く勇気がない、行ってもどうしようもない、行って良くなるはずがない、、、という気持ちです。

治療を躊躇する気持ちはよくわかります。たとえば、虫歯になり、歯医者に行かねばならないことはよく理解できますが、行くのは嫌です。(最近の歯医者さんは痛くなくなりましたね。私は子どもの頃、とても怖かったです。)

精神科なんて行くと、強い薬を飲まされるのではないか、入院させられるのではないかと怖がる人もいますが、私の相談室では薬もほとんど使いません。

だれでも、自分の心に向き合うことは嫌なものです。
他人を連れて行くことは、気持ちの抵抗は少ないものです。

親としては、うちの子どもにカウンセリングを受けさせたい。
本人としては、そんなの嫌だ、行きたくない。

というのは、よくあるパターンです。

本人を治してほしい、本人の問題を解決してほしい、、、、そのように思っている方が、相談のニーズが一番高く、相談を求めているということになります。

来たくない人を無理やり連れてきても効果がありません。
家族のことを相談したいと真剣に思っている方が、相談にいらしてください。
本人が来なくても一向に構いません。

親だけの相談

Q) 本人が相談に来たがりません。親だけの相談でも受け付けてくれるでしょうか?
以前行った病院では、本人が受診しなくてはダメだと断られてしまいました。

A) はい、どうぞご家族だけで相談にいらしてください。親でも、本人でも構いません。

通常の精神科やカウンセリングは、「本人が中心」です。本人の身体や心の中にある問題点・病気・障害などを見つけ出し、それを治療しようとします。ですから、本人が来ないと、何もはじまらないと考えます。

私の相談室は、本人よりも「家族が中心」です。
問題を抱えた本人自身が、相談に行く気持ちがなかったり、救いを求めることを拒否する場合、家族が大きな力を発揮します。また、ひきこもり、家族以外と出会うことを拒んでいる場合も同様です。

  • 家族が本人の問題をどのように捉えるか。
  • 家族が本人にどう関わるか。
  • 母親・父親・きょうだいなどが、本人の問題解決に向けて、どのように協力することができるか。

そのようなことを、よくご相談しましょう。
それは、家族に原因があるからではありません。
家族の力を利用して問題を解決します。

家族が良きカウンセラーの役割を果たすにはどうしたらよいか、ご相談しましょう。


2014年6月9日月曜日

我々老眼族

「ひきこもり脱出支援…」は本当に参考になり,良い本だと思った.しかしコラムを灰色地にするのはケシカラン!我々老眼族には読めないでないか.せめて周りを線で囲む程度にしてもらいたい.

本を読んでいただき、またご指摘ありがとうございます。
配慮が足りず失礼いたしました。今後の著作では気をつけたいと思います。

質問をされた方は「我々老眼族」ということで、ご年配の方と推察いたします。
最近は、本人が30代、40代、ご両親も60代、70代のご相談が増えています。ひきこもりの長期化・高齢化がこれからの問題として深刻になってきています。
本の中でも述べましたが、ひきこもりが長くなり、本人の年齢も30代後半を過ぎると、就労という形の社会復帰はきわめて困難になり、支援の目標としてはずさなくてはならなくなります。しかし、そのままで良いかというとそうではありません。このような世代の方にもぜひご相談にいらしていただきたいと思います。

というのも、最近の介護現場で、子どもから高齢者の親に対する老親虐待が増え、その背景に成人となった子世代のひきこもりが指摘されています。彼らは何歳になっても自己万能感の自我から抜け出せず、「自分がこうなったのは親のせい」と親を責め続け、親に対する怒りを解決できないまま年月が経過します。やがて、親世代の介護が必要な状況になり、子世代が親に関わろうとすると、心中に秘めた怒りの気持ちが老親虐待となってしまいます。

このような最悪の事態を避けるためにも、親子が普通に交流し、話し合える状態にもっていく必要があります。つまり、長期化したひきこもりの場合、相談の目標が「ひきこもりの脱出」ではなく、「家族同士の交流の再開」に変化します。

どうぞご相談にいらして下さい。

2014年6月5日木曜日

ひきこもり脱出講座参加者の声

「ひきこもり脱出講座」では十数名の同じ参加者が毎回3週間おきに計6回集まります。私からの講義もありますが、皆さんから家族の様子を毎回お話ししてもらいます。
すると、あら不思議、子ども本人は参加していないのに、今まで動かなかった子どもの様子がどんどん変化していきます。なぜなんでしょう?

Aさんの感想です。
今日も参考になるお話をたくさん聞くことができ、前向きなものを頂きました。
親が変化しようと思い続け、肯定しようとする気持ちがあれば、親がこれといって何かを言ったり具体的なきっかけを与えなくても、子どもは親の雰囲気を感じ取って変化する時が来るのですね。
家族の力でひきこもりから脱出できるのかもしれない!
と思うと、希望がわき元気になれます。
家族にできることは、見守り、心配すること以外にもたくさんあるんだと、今の段階で知ることができ、講座に参加して良かったです。

そう、みなさんそうですね。
何か講座で学んで、改めて子どもにこう接しようとか、これを伝えようと、身構えて何かをするわけでもありません。ただ、普通に普段の家族生活を続けているだけです。
でも、講座に参加した親の気持ちは確実に変化しています。今まで、子どものひきこもりのことについて「どうしてよいのか全くわからない」状態だったのが、何となく希望や元気が湧いてきます。それは、私からの講義内容もあるかもしれませんが、同じような体験をお持ちのみなさん同士がお互いに状況や気持ちを語り合うことがとても良い効果を与えています。
親が新たに獲得した元気さや希望が、具体的な言葉に出さなくても子どもに伝わり、子どもも何となく元気になっているようです。

Bさんの感想です。
講座に参加しても、今までは
「子どもをソトの世界に押し出すには父親が必要。夫婦でキャッチボールをしなければならない。」
ということが頭にこびりついて、それがとても高いハードルで、とても前に進む勇気がありませんでした。
先日の講座で、田村先生が「皆さんは進化するためにこの講座に参加している、、」というようなお話をされました。
それで、私は考え方のハードルを下げようと思いました。
「講座で言われたことができなくても良いんだ。いつか出来るかもしれないけど、今でなくてもいい。今は出来ないのだから。講座を受けるだけでも私には前進なのだから。」
開き直ることができました。
講座で先生や皆さんのお話を聞いているだけで、心が和らぐのがわかります。

とても良い「開き直り」ですね。
Bさんの言葉は、同じように考えていらっしゃる多くの方々に元気を与えるでしょう。
これは、まさに心理学でいう「レジリエンス」(逆境を跳ね返す力)なんです。
どの人間も、あるいはどの家族も、元気な部分とダメな部分の両方を持っています。
ダメな部分が悪さをして、病気や問題が起こります。従来の心理学では、ダメな部分を見つけ出して治して改善したら良くなると考えてきました。
でも、レジリエンスという新しい発想はちょっと違います。
人間はダメを取り除く必要はありません。もちろんダメな部分が少ない方が良いのですが、ダメさを全部なくすなんて非現実的でしょう。
だから、ダメはダメで良いんです。むしろ大切なことは、元気な部分を増やそうとします。そうすれば、ダメな部分があっても、問題や病気を乗り越えることができます。
Bさんは、夫婦のキャッチボールができないというダメな部分はとりあえず置いといたままでも、心を和らげ、元気になることができました。それで良いんです。その元気さを家族に伝えればOKなんです。

Cさんは、講座が終わった後、私の方へやってきて、何か質問されるのかなと思ったらそうではなく、レシピをひとつ教えてくれました。
「簡単だけど豪華なレシピなんですよ。新玉ねぎを丸ごと皮をむき、電子レンジで4分チン、そしてひっくり返してまた2分チン。あとは適当なタレをつけて出来上がり!
とても簡単でしょ!」
というのも、講座の話の中で、私が「家事が大変なんです」みたいな打ち明け話をしたもので、Cさんは良い情報を教えてくれました。
その晩、さっそく作ってみました。
とても、美味しかった!
そりゃあ、食べ物の味は主観ですから「美味しい!!」とも言えるし、「まあ大したことない、普通だよね!」と言おうと思えば言えます。

でも「絶対おいしいですよ!」と語るCさんの表情は自信に満ちていました。
そう言われると、私もつられて「うん、確かに美味しい!」とホントに思ってしまいます。

その自信なんですよ、大切なのは。
みなさんが初回の時に家族のことを話す表情に、自信なんかありませんでした。
でも、回を重ねるにつれ、だんだん表情が変わってきます。
少しずつ元気や自信が芽生えてきます。

そういう自信に満ちた表情をされると、相手も何となく根拠はないけど元気が出てきてしまいます。
その表情で家族に向き合えば、家族みんなが自信を持てるように必ずなります。

2014年6月3日火曜日

人に会いたくない場合の無料相談

Q)外出したくない・人に会いたくない・いつも不安になる・死にたいと思う事がある!多分、うつ病だと思うのですが・・・お金が無くて病院に、なかなか行けません。どうしたら良いでしょうか?

A)人に会いたくないということですので、病院など先生と直接会って相談することには敷居が高いと思われます。その場合は面談よりも、電話やメールでの相談から始めてみてはいかがでしょうか。今は、さまざまな無料相談が行われています。

いのちと暮らしの相談ナビ
http://lifelink-db.org/

では、さまざまな用途に応じた相談先を紹介しています。
無料相談ではさまざまな制約があるかもしれませんが、ひとりで悩まず、相談してみることをお薦めします。