2014年12月19日金曜日

基本的な質問

Q) メールで質問して回答が来るまでどれくらいかかりますか。
メールでのお問合せは、原則として24時間以内にお答えします。但し、休日は明けてからお答えします。
Q) 電話でも問い合わせは受け付けてくれますか?
もちろん、ご自由にお問い合わせください。受付時間は火~金の午前10時~午後4時です。月・土・日はお答えできませんのでご注意ください。
Q) ファックスでも問合せできますか?
はい。24時間いつでもご利用ください。ファックス専用番号:03-6804-2192です。
Q) 初診を申し込んでから、予約がとれるまでどれくらい日にちがかかりますか?
おおむね2-3週間後に予約をお取りできます。土曜日はご希望が多いために、もう少しお時間がかかる場合もございます。
Q) 診察時間を教えてください。
午前930から診療を開始します。通常の終了時間は午後5時ですが、ご事情によっては午後8時までの予約を申し受けております。
Q) 小学校にあがる前の幼児も受け付けていますか?
子どもから大人まで、すべての年齢の方をお受けいたします。実際に来られる方は、10~12歳の思春期以降から大人までが多数を占めます。
Q) カウンセリングにはどれくらいの頻度で通うのですか?
2-3週間おきに通う方が多いです。状況が安定してくると、その間隔を徐々に延ばしてゆきます。
Q) 治るまでにどれくらいかかるのですか?
1-2回の通院で元気になる方もいますが、多くは7-8回くらい通うなかで治っていかれます。時には1年以上かけてゆっくり着実に成長される方もいます。それは、長期間のひきこもりや、長い間の夫婦間の歴史などが関連している場合などです。
Q) 健康保険は使えますか?
すべて自由診療のため、社会保険、国民健康保険などは使えません。毎回発行いたします領収書は、年末調整・確定申告の際に医療控除の対象となります。

Questions to initiate therapy

Q) How long does it take for you to respond to my message?
I typically respond to e-mails within 24 hours. It may take a little longer during holiday seasons.
Q) Do you respond to inquiry on telephone?
I myself (Dr. Tamura) or my receptionist answer your telephone during 10 am to 4 pm, Tuesday to Friday. Please note we cannot answer on Monday, Saturday and Sunday. I can answer your inquiry when I am available. My receptionist speaks basic English, so please leave your telephone number to her, and I will get back to you and answer your question.
Q) Do you take inquiry on fax?
Yes. Fax is available 24 hours on 03-6804-2192.
Q) How long does it take to get an initial appointment with you?
Usually I can schedule a first appointment within two to three weeks from the time you contact me.  Weekdays are easier for first appointments. It may take a few more weeks for the appointments on Saturdays.
Q) What is your appointments schedule?            
My earliest appointment is 9:30 am. My regular office hour finishes at 5 pm, but later appointments are available until 8 pm on request.
Q) Do you see children or adolescents?
I take referral of all ages. Most of the referrals are adolescent ages (10 to 12 years old) and adult age.
Q) How often do you see clients?
Most frequently I meet with clients once in two to three weeks.  As therapy continues we may meet less often.
Q) How long does therapy last?
Some clients make remarkable progress in just one or two sessions and finish therapy, but most clients takes 7 to 8 sessions to make a successful progress. A few clients prefer to stay in therapy for more than a year to make a slow and steady progress in their life issue.
Q) Do you take insurance?
I am not on Japanese social insurance system. But I provide a receipt of treatment so that you can use to obtain reimbursement from their insurance company.  The amount they receive varies greatly from policy to policy.

2014年12月9日火曜日

Lifetime Cultural Systems experience

Lifetime Cultural Systems experience
l   A. Personal cultural systems experience
l   B. Professional cultural systems experience
1. Cultural Systems Family Therapy clinical practice.

2. Cultural Systems Family Therapy Supervision, teaching etc.

2014年12月2日火曜日

子どもに関わる親の不安

前回の講座が終わった後、なぜ親は「子どもに強く言うと、傷つき、もっと悪くなってしまうかもしれない」と思うのか、改めて振り返ってみました。

それは、うまく伝える自信がないのです。怖くて、心身が緊張してしまい、自分の考えがまとまらず、やってみないうちに諦めてしまいます。一方的に思い込んで、起きていないことを心配して、不安の先取りをしてしまいます。

不安に取りつかれてしまったり、何かの思い込みに縛られると、本来持っている力を発揮できなくなってしまうのですね。

ひきこもり脱出講座に参加した方の感想です。
子どもがひきこもっている親御さんに共通した気持ちがよく表れています。
不安が先行してしまいます。それは親として当然のことです。
親としてどう子どもに関わったらよいのか。こうすれば良いんだよ、と自信を持っている親なんてまずいません。多分、こうすれば良いのかな、こうしたら良くないのかな、、、見当を付けることはできますが、本当には自信を持てません。いつも、これで良いんだろうか、良くないのだろうか、、、親として戸惑っています。

このように、親は多かれ少なかれ不安を抱えています。それが小さいうちはまだ良いのですが、大きくなると魔物になってしまいます。不安がぐるぐる回転して悪循環の竜巻が起きてしまいます。すると、不安の先取りが始まり、身体が緊張・硬直して、本来持っている親の力を発揮できなくなります。すると、ますます問題が大きくなってしまい悪循環の竜巻がどんどん大きくなってしまいます。

そういう、親としての自分自身の気持ちの動きに気づけたことは大きな成果です。そこに気づくことができれば、親の不安を乗り越えて、子どもにちゃんと向き合うことができるようになります。

2014年11月21日金曜日

メール相談と面談

メール相談と面談では効果の違いはありますか?

単発の相談では、効果の違いはそれほど大きくありません。
しかし、繰り返し継続した相談になると、面談の方が効果が高くなります。

単発の相談では、現在の状況を伺い、今後の見通しや情報提供をお伝えします。1回の相談ではあまり深いやり取りはできませんので、メールでも電話でも効果の差はそれほど大きくありません。

しかし、何度か相談していくと効果の違いが現れてきます。
ひきこもりや不登校、夫婦間の問題などは、表面的な情報提供ではなかなか改善しません。これまでの経過やさまざまな思いなどを深く伺う中で解決策が見えてきます。そのために、何度も繰り返して相談を行っていきます。

面談では、セラピストとの信頼関係をもとに、じっくり落ち着いて自然とお話を深めることができます。多くの方にとって、メール相談よりもより高い効果が得られます。

メール相談では、相談される方がご自身で自分の気持ちをどの程度深められるかによって効果が大きく異なります。面談と違いその場での言葉のキャッチボールがないので「その部分をもっと聴かせてもらえますか?」といった相手からの「つっこみ」がありません。メール相談は独り語りの要素が大きく、交換日記のように、自分自身で内省した思いを相手に伝えます。そのようなやりとりがしっくり来る方にとっては効果が高いと言えます。

2014年11月11日火曜日

心の支援者に求められる資質

痛みは閉じ込めるのではなく、安全な環境下でメスを入れ、安全に取り出していくことによって乗り越えられるもの。人と人とのコミュニケーション、言葉かけの中から生じるものであることを改めて気づかされた。人によって傷つけられた痛みは、人によって癒される。人に愛を分け与えることにより、自分も愛をもらう。「あなたのことをちゃんと認めているよ。聴いているよ。」という立場で相談員として活動していこうと思った。

講演のご清聴ありがとうございました。これは私がまさに皆さんにお伝えしたかったことです。

人は無傷では生きていけません。失敗したり、他人から否定され自尊心が傷つけられたり、大切な人や物を失うなど、さまざまな痛みを大なり小なり体験します。それは子どもから大人まで変わりません。小さな子どもは自分を守る力がありませんから保護者が守ります。大人になれば、痛みに対する免疫もついて、自分で自分を守ることができます。大人と子どもの狭間にある若者は心が大きく成長する時期なので、とても傷つきやすい時期です。子ども時代を終えて思春期に入ると、親の保護から抜け出し、自立したいと思うようになります。人は誰でも痛みを自分で乗り越える力を持っています。辛さをこらえ、なんとか痛みを自分の力で乗り越えた時、それが成功体験となり自信を獲得して、心が成長します。つまり、傷つき体験が成長の糧となります。

しかし傷つきはリスクを伴います。痛みは心に負担がかかるので、傷ついた気持ちを隠して抑え込もうとします。痛みがそれほど大きくなければそれで構いません。むしろその方が安全に生活できます。しかしある程度大きくなると、心に抑え込みきれずに不意に飛び出してしまいます。たとえば、何もやる気が起きなくなるうつ病や、突然不安が飛び出して心のコントロールがとれなくなってしまうパニック障害、あるいは頭痛・腹痛・腰痛、皮膚の病気、下痢・便秘など身体の不調として現れます。あるいは非行や反社会行動、暴力、薬物・アルコール依存、インターネットやゲームへの依存、社会不適応、ひきこもり、摂食障害、自傷行為、自殺念慮などの問題行動して現れることもあります。これらは不安定な若者の時期によく見られます。

心の痛みがあふれ出して、ひとりではどうしようもなくなると、救いを求めてきます。相談員はその痛みを安全に放出できるようにお手伝いします。痛みを我慢したいのに不用意に飛び出すととても危険です。安全に放出するとは、痛みを恐れることなくしっかり共感して受け止めてくれる他者が傍にいるということです。

クライエントは言葉の上では「助けてください。どうしたら良いか教えてください。」と訴えてきますが、本当は解決を求めているのではありません。自分の痛みをちゃんと受け止めてくれる人を求めています。人の苦しみの根本をそう簡単に解決できません。痛みを抱えている自分の存在を認め、わかってくれる人がこの世にいるだけで大きな安心感が生まれ、痛みに向き合う勇気を回復できます。

講演の後半には私が5年前に妻を失った話をさせていただきました。その感想も紹介します。

最愛の方を失った時の葬儀のビデオは心を打ちました。ご家族を亡くされた痛みを私たちに出していただき、そこからどのように傷ついている人を救うのか示唆していただきました。

5年前に妻を亡くしてから、相談員向けの講演ではいつもその話をしてきました。心の痛みを放出しても構わないという具体例を、私自身の体験をもとにみなさんに伝えたかったのです。それは参加者のためでもあり、私自身のためでもあります。ただし今までは話だけで、葬儀のビデオの封を切るまでに5年かかりました。映像を確認する作業はひとりではできませんでした。講演の1週間前に、しっかり受け止めてくれる人に傍にいてもらい、共に見てから、みなさんにお見せする安心を得ました。

ご自分の奥さまの葬儀の映像を見る意義をもう少し詳しくお聞きしたかったです。思い出すたび、映像を見るたびに悲しみが増すのではと私は思いましたが。

いいえ。悲しみの量は増すことも減ることありません。
悲しみは変わらなくても、それを感じるときの痛みの量が減ります。このようにして、触れてはいけない閉ざされた悲しみから、触れても構わない開かれた痛みに変ります。そうすれば、悲しみが怖くなくなり、避ける必要がなくなります。

みなさんは、私がそこまでよくできるなとお感じになるかもしれません。別に私は強い人間ではありません。なぜできるかというと、自己を開示する専門家としてのトレーニングを積んできたことに加え、相談員のみなさんに対する信頼があります。みなさんの中には、悲しみに耐えきれず聴けなくなって耳を塞いで立ち去る人や、講演が終わった後も悲しい気持ちを切り替えらえず引きずってしまう人もいたかもしれません。しかし多くの人は私の気持ちを受け取り、その時は涙をひとすじ流しても動揺して心のバランスを崩すことなく、講演が終われば気持ちを切り替えて、普段の気持ちに戻ってゆけると信じています。

みなさん自身も心の傷を持っているはずです。人は誰でも持っていますから。一般の人は、そのことを自覚していなくても何とかなります。しかし他者の心を支援する人は、自分自身の心にも向き合い、意識の下から痛みを取り出してきても心のバランスを保てることが必要です。

相談員に求められているのは、まさにこのような資質であると私は考えています。

2014年11月8日土曜日

田畑先輩

今日も、よく仕事をした!

帰り道に立ち寄ったワインバーで心地よい疲れを癒し、ひとりふらふら商店街を歩いていたら、正面から自転車に乗ったおっさんがやってくる。道と視線を避けても、私のことをじっと見ている。

「なんだ、田畑先輩だ!チワっす!」
ニコっと挨拶を交わして通り過ぎていく。
この間およそ3秒の出来事でした。

田畑さんは中学の柔道部の先輩だ。
57歳と58歳の差なんてないに等しいけど、40年前の中1と中2の差は歴然だった。
部長だった田畑先輩はデカくて強かった。
私は小さくて弱かった。
でも、田畑さんは商業高校だったかな、に進学して、家業の中華そば屋を継いだ。
私は進学高から医学部に進んで医者になった。
だから何なの?

先輩とか後輩とか、ソバ屋とか医者とか、どっちが上とか下とか、意味を持たないよね。
田畑さんは後輩の面倒をよく見てくれた。
地元の商店街を通ると、ときどき見かけるんだ。
40年経った今でも、私のことを認めて微笑んでくれる。それだけなんだよね、彼との関係は。

そのような関係の集まりが、私自身の世界を構成している。
肩書や、職業や、収入は、私の世界を構成しない。
私のことを見ていてくれる他者との関係の中から、私の存在意義と、喜びと、哀しみが、生まれるんだ。

ほろ酔い加減で、そんなことを思った。

2014年10月29日水曜日

姪の結婚式

結婚式に久しぶりに出席した。

若い頃は友だちの結婚式によく出席した。スピーチの順番が回ってくるのは最後の方だから、それまで緊張してお酒も控えなければならない。
そして30歳で自分の結婚式をやって。
その後は教え子の結婚式に時々招かれたが、その数はあまり多くはない。招待される結婚式は、昔風の伝統的な結婚式ばかりだ。今どきの若者たちは、大学の先生や恩師なんてあまり呼ばないでしょ!
大学の先生だと席次とスピーチの順番が前の方になる。早々しゃべって、後はのんびり飲むことができる。
親族席の結婚式は妹と従弟がだいぶ前にあったきりだ。
そして今回が姪の結婚式。
次世代の親族の結婚式は初めての体験だ。

いとこであるうちの子ども達と、祖父母である老親を引率して、新幹線で四国まで一泊の遠征旅行。
私の両親にとっても初めての孫の結婚式だ。
子育て⇒子どもの結婚⇒孫の誕生、成長、そして結婚⇒やがて次世代へ
自分のDNAが繋がっていく喜びを感じているのだろう。
父にとっては60年ほど前に、お嫁をもらいに夜行列車と宇高連絡船で愛媛まで行った旅を彷彿させる。
母にとって愛媛と香川は異なるから、別にノスタルジーの旅ではない。もともと出不精だったのに加えて、80歳を過ぎて耳が遠くなり、家のことが心配だからと滅多に旅行に出かけない。夫婦揃って、しかも息子と孫たちと一緒の家族旅行は稀有だ。孫に荷物を持ってもらい、通勤電車に乗り込めば周りの人がさっと席を譲ってくれる。

花嫁の母親にとって、娘を育て、進学と就職を見守り、彼氏との出会いからプロポーズまで見守り、親から自立する、二十数年間の子育ての卒業試験だ。一年近く前から、就職したばかりの本人たちになり変わり何かと気を遣い、支度を整え、式には留袖を着る。本人たちばかりでなく、親にとってライフサイクルの大きな節目だ。

20歳の長男にとって、結婚式は初めての体験だ。どんなんだろうかなあ。
2年前には「おれ結婚なんかしねえよ」と言っていた彼と結婚式前夜に飲んだ。「おまえは彼女作らないのか?」と尋ねたら、「作ろうとしたけど失敗した。」と言う。少しは進展したな。

16歳の次男に同じことを尋ねても「オンナなんて興味ねえ。男同士でツルんでいたほうがよっぽど面白いよ。」、「結婚式ってご馳走出るんだろ?おれ食うぞ!」のレベルだ。

18歳の長女は従姉の結婚式に一番参列したがっていたが、海外脱出中で果せない。結婚式の写真を送ると、「○○ねえちゃん、すごくキレイ!!」とあこがれる。

姪にはいっぱい言いたいことがあるけど、恩師のスピーチでもあるまいし、伯父がうんちくを垂れる幕ではない。親族に与えられた役割は、本人と家族の成長を遠くから見守り、承認するだけだ。

落ち着いたら、一度おいで。ご馳走してやるから。
でも忙しい二人にそんな時間も取れないよな。花嫁も花婿もキャリアをスタートさせたばかりで大忙しだ。当座は別々の場所で週末婚の生活だ。
でもね。キャリアも大切だけどwork & life balanceも大切だよ。今まで、超スピードで飛ばしてきたけど、これからは、スピードアップとスローダウンの両方が必要なんだ。ハンドルの振動を直に車輪に伝えてはいけない。良い意味での「遊び」を持たせないといけないんだよ。
と言ったところでそんな余裕もないだろうな。

恋愛時代とラブラブ新婚時代には可視化されていた愛情は、二人の生活が落ち着くと逆に見えにくくなるんだよ。ロマンチックなデートみたいな愛から、仕事と家庭に必死で、てんやわんやの愛に変わる。たくさん良いケンカをしなさい。ケンカを避けちゃいけないんだ。ケンカは相手と向きあう真剣勝負なんだよ。"I love you!"のpositive messageばりでなく、"I don't like that!"のnegative messageもちゃんと言葉にして伝えなくてはいけない。以心伝心=言わなくても分かってくれるだろうなんて古い考えではダメだ。ケンカができなくなったら夫婦の溝は修復できないよ。激しく言葉で傷つけあっても、その後に折り合いをつけるだけの親密性が必要なんだ。相手とぶつかる事を避けてはいけない。しっかりツッコミあおう。

、、、というような家族心理学の専門家みたいなうんちくは伯父サンには求められていないんだよ。

でも、良い結婚式だったね。二人の心がこもった手作りの結婚式。30年前とはだいぶ違う。結婚式も時代と共に進化しているんだ。
人生はまだ序盤戦。二人ともたくさんの成功体験を獲得し、しっかり前を向いて進んでいるね。良いことだよ。その貯金があれば、今後、いろいろ現れるだろう苦難の壁も、なんとか乗り越えられるだろう。

披露宴のレストランで、virgin roadが特別に作られた。花嫁と父親が歩き、新郎にバトンタッチする。
私も近い将来この道を歩くのか。
娘は「パパとなんか歩かないからね!」と宣言するけど、歩きたい。
子どもを手離す寂しさよりも、成長の喜びの方が強いんだろうな、きっと。

披露宴のテーブルには、花嫁からのメッセージがあった。

「今日は来てくれてありがとう。彼は是非おじちゃんと話したいみたいです。留学も志しているので、おじちゃんの経験を聞かせてあげて下さい。西麻布・六本木の美味しいお店も教えてほしいな。」

おう、そうか、そうか。それなら是非いろいろ教えてあげよう!

披露宴の最後は新郎新婦のご挨拶だ。
「おじちゃん、すごい勢いで泣いてなかった!?なんかしゃべりにくかったよ、、、、」

いや、済みません。ちょっとワインを飲みすぎちゃって、披露宴の後半のことはあまり覚えていないんですよ、、、

2014年10月8日水曜日

ひきこもり脱出講座の振り返り


前回の「ひきこもり脱出講座」に参加した方々の感想を紹介します。
  • 今までにもひきこもりの家族会などに参加したことがありましたが、今回のように少人数で、先生が中心になって話があり、その後に参加者の現状報告に対してディスカッションするという形式は初めてでした。先生と、参加したみなさんのお話しを通じて共感するところもあり大変参考になりました。
  • 先生のお話と、参加者の方の熱い思いと言葉で、まだ諦めないで子どもに向き合っていこう、子どもを信頼していこうと勇気をいただきました。
  • 自分のありのままの気持ちをそのまま表現して、相手の方のありのままの気持ちをそのまま受け取る。講座の話し合いのそういう対等な言葉のキャッチボールの中で、自然に良いものが生まれる。そういう会話を子どもともできたら良いなあと思いました。
  • 今まで、子どもを傷つけるリスクを恐れて、子どもを「腫れ物」のように関わっていました。これではいけないと思いつつも、どうすることもできなかったのですが、これからは状況をみて、親からのメッセージを伝えていきたいと思います。
  • 親からメッセージを伝えるということは、親として一番しなくてはいけないことなのに、自分は子どもに向き合ってこなかったと思いました。いろいろな気づきがあり、良かったと思います。
2時間の講座を、10名程度の同じメンバーが、3週間おきに6回集まりました。
この講座は一般的な講座とは異なります。講師である私から一方的に知識やアドバイスをお伝えするのではなく、各参加者にたくさん語ってもらい、お互いに話し合う中で解決策を見出していきます。その中で、とってつけたような一般論としての解決策ではなく、各家庭の事情に合った、一番ベストな解決策を見出します。

6回を通じて、みなさん熱心に語り合いました。子どものひきこもりが長引いてくると、ふだん家族どうしで話し合っても先が見えないので、話し合ったり、考えることをやめてしまいます。しかし、講座では、みなさんと共にたくさん話し合いました。ひとりの方が話せば、それに触発されてほかの方も話し出します。お互いの話に耳を傾け、私からも多くのひきこもりの家族に関わってきた経験を語りました。どのように相手(子どもや夫婦)に向き合ったらよいのかを深めていくと、親としての自分自身に向き合えるようになります。

みなさん、親として、子どもに働きかけて、メッセージを伝えたいと願っています。
しかし、振り返って話し合ってみると、ちゃんと子どもに働きかけていません。ちゃんと親からのメッセージを伝えていません。そこには、家族をお互いに遠ざける壁があります。
今回、みなさんと話し合う中で見えてきた壁は次のようなものです。

子どもが傷つくかもしれないという壁
この子は幼いころから繊細で、いじめられたり嫌な思いをしてきた。だから、親が強く言うと、傷つき、もっと悪くなってしまうかもしれないという不安を抱きます。

暴力を振るうかもしれないという壁
以前、子どもに働きかけたら、イライラしたり怒って、物を投げたり、ドアをバタンと強く閉めたり、壁を強く蹴とばして穴をあけたことがありました。また言ったら同じようなことが起きたり、本当の暴力沙汰になるのかと心配します。

うちは特殊だから、、、という壁
うちの子どもは小さいころから弱かったのです。病気を持っていました。発達障害と診断されました。だから普通のお子さんとは違うので、、、先生がおっしゃるような普通の対応はうちでは無理なんですという壁です。

親子に十分な信頼関係が築かれていないという壁
これは、特にお父さんに多いのですが、今まであまり子どもや家族に関わってきませんでした。急に関わったり話しかけても、子どもは戸惑うだけで親のメッセージが素通りしてしまって伝わりません、、、と親は戸惑います。

「親が何か言ったら押し付けになるから、何も言わない」という壁
親から何かを言われるのではなくて、自分で考えて、自分で動き出さなければ意味がないんだ。親の価値観を押し付けてはいけない。子どもが自分から気づいて動き出さねばダメだと考えます。このように考えるのは、母親よりも父親に多くみられます。


会話が続かない壁
親が語りかけても、子どもは何も返事をしません。暖簾に腕押しで、話しかける気力を失ってしまいます。無理にもっと話しかけようとすると、避けて自分の部屋に閉じこもってしまので、それ以上は言えません。今はやっと居間にいることができるようになったので、気に障るような避け、テレビ番組や日常の差しさわりのない話だけ軽く交わしています。

自分は親が嫌いだったという壁
親も昔、自分の親から話しかけられることが嫌でした。だから、親が話しかけるのもきっと嫌がっていると思います。嫌がっているのを無理に話しかけても仕方ありません。

これらの壁はどこにあるのでしょうか?
子どもの心の中にあるだけでなく、親の心の中にあります。
参加者が持っている壁をお互いに紹介する中で、どうやったらその壁を安全に乗り越えられるのか見出すことができました。

2014年8月11日月曜日

事例から学ぶ研究会のお知らせ

参加者の経験する事例をもとに、家族システムの見立て方や介入方法、複数の人との面接技法について学びます。システム論的なモノの見方は家族システムばかりでなく、学校や職場、治療者が所属する機関の人間関係・役割分担、連携する諸機関とのネットワークなども含まれます。多様なシステムの過程を理解して、有効な支援に繋げます。

対象者
心の支援に関わる専門家(医師、看護師、心理士、ソーシャルワーカーなど)、心理系の大学院学生など。守秘義務を負える方。

日程:各回とも土曜日の晩(午後68時)に開催します。
1)201496日(土)オリエンテーション
2)104日(土)
3)118日(土)
4)1213日(土)
5)2015117日(土)
6)214日(土)
初回(9月6日)はオリエンテーションとして、事例提示の方法論について解説します。2回目以降は、希望者が事例を提示します。すべての回に参加できなくても構いません。
この研究会は家族療法グループ・スーパーヴィジョン経験として認められます。

開催場所:田村毅研究室(東京都港区)
講師:田村 毅
受講料:3万円(税別)
参加ご希望の方は、田村研究室までご連絡ください。

2014年7月23日水曜日

夏のジェノグラム(家系図)講座のご案内

 家族療法に興味がある。でも難しそう。どのように進めてよいかわからないという心の専門家を対象に、ジェノグラム(実習)を8月土日の二日間に行います。
 家系図は家族のアセスメント、そして家族介入の手段として日常的に用います。家系図をうまく書けるようになると、多くの情報を得られるばかりでなく、そのこと自体が家族への気づきを促し、円パワーすることができます。うまく書けるようになるために、まず自分自身の家族を題材にして、家系図を書いてみます。その中で、家族インタビューのやり方や、自分自身の家族体験について深い洞察を得ます。これらの経験を通して家族関係を共感的に理解し、臨床現場で家族に関わる経験を深めます。

対象者
心の支援に関わる専門家(医師、看護師、心理士、ソーシャルワーカーなど)

心理系の大学院学生など。

日程
1)2014年8月2日(土)900-1700 、
2)8月3日(日)900-1600。


開催場所
田村毅研究室(東京都港区)

講師
田村 毅(精神科医、田村毅研究室室長、日本家族研究・家族療法学会評議員、学会認定スーパーヴァイザー)。
受講料:3万円(税別)

問い合わせ・お申込み
田村研究室までメールでご一報ください。

2014年6月11日水曜日

治るにはどれくらいかかるのですか?

Q) カウンセリングはどれくらいの頻度で通うのですか?

2-3週間おきに通う方が多いです。
緊急度の高い方、切羽詰っている方は毎週通う方もいます。
比較的落ち着いてくると、1ヶ月(4週間)ごとに通います。
2ヶ月以上間を空けると、継続性が薄れてしまうのであまりお勧めしません。

Q) 何回くらい通うと治るのですか?

1回の面談で、今までわからなかったことが理解できて、解決策が見つかる場合。
2-3回のカウンセリングで気持ちが晴れ、今まで悩んでいたこと・困っていたことが氷解する場合。
などもありますが、数としてはそう多くはありません。

平均すれば、3-4ヶ月間かけて、7-8回くらい通われる中で元気になっていかれる方が多いです。

人の心は奥が深いものです。そう簡単に変わるものではありません。
「変わる」というより、「心が成長する」あるいは「今まで気づかなかったことに気づく」という感覚に近いと思います。我々の経験を振り返っても、人に話を聞いてもらったから、誰かに「○○しなさい!」と言われ、その時は「なるほど」と思っても、そう簡単に人の心は成長するものではありませんね。しかし、人生の中で、ふとした相手の一言によって、自分の気持ちのありようが大きく変化する瞬間があるものです。そのような「成長のツボ」を探し出すまでに、それくらいの期間がかかります。

でも、中には半年、あるいは1年以上かけてゆっくり成長する方もいます。
たとえば、長い間ひきこもっているような場合は、回復までの道のりも長くなります。
「もう回復なんか無理だ!」と思い込んでいる間は回復しません(当たり前ですが)。
その場合でも、しばらく通っていると、「もしかしたら回復できるかもしれない!!」と考えが変わり、希望が見えるようになります。そうすれば、必ず回復できます。

回復するはずがないと思い込んでいるうちは、絶対回復できません。

本人が相談に来ないと言い出しました

昨日までは、本人も相談に行くことに同意していたのですが、今朝になって体調が悪くなり、相談に行けなくなりました。今日の相談をキャンセルします。

という連絡を時々いただきます。
これは、本人の気持ちを考えれば、至極当然なことです。
本人の気持ちはYesとNoの気持ちが両方入り混じっています。

Yes、つまり親から言われれば相談に行くべきというのはよくわかる、このままでは良くない、どうにかしたい、相談に行こう、、、という気持ちです。

Noとは、やはり行きたくない、行く勇気がない、行ってもどうしようもない、行って良くなるはずがない、、、という気持ちです。

治療を躊躇する気持ちはよくわかります。たとえば、虫歯になり、歯医者に行かねばならないことはよく理解できますが、行くのは嫌です。(最近の歯医者さんは痛くなくなりましたね。私は子どもの頃、とても怖かったです。)

精神科なんて行くと、強い薬を飲まされるのではないか、入院させられるのではないかと怖がる人もいますが、私の相談室では薬もほとんど使いません。

だれでも、自分の心に向き合うことは嫌なものです。
他人を連れて行くことは、気持ちの抵抗は少ないものです。

親としては、うちの子どもにカウンセリングを受けさせたい。
本人としては、そんなの嫌だ、行きたくない。

というのは、よくあるパターンです。

本人を治してほしい、本人の問題を解決してほしい、、、、そのように思っている方が、相談のニーズが一番高く、相談を求めているということになります。

来たくない人を無理やり連れてきても効果がありません。
家族のことを相談したいと真剣に思っている方が、相談にいらしてください。
本人が来なくても一向に構いません。

親だけの相談

Q) 本人が相談に来たがりません。親だけの相談でも受け付けてくれるでしょうか?
以前行った病院では、本人が受診しなくてはダメだと断られてしまいました。

A) はい、どうぞご家族だけで相談にいらしてください。親でも、本人でも構いません。

通常の精神科やカウンセリングは、「本人が中心」です。本人の身体や心の中にある問題点・病気・障害などを見つけ出し、それを治療しようとします。ですから、本人が来ないと、何もはじまらないと考えます。

私の相談室は、本人よりも「家族が中心」です。
問題を抱えた本人自身が、相談に行く気持ちがなかったり、救いを求めることを拒否する場合、家族が大きな力を発揮します。また、ひきこもり、家族以外と出会うことを拒んでいる場合も同様です。

  • 家族が本人の問題をどのように捉えるか。
  • 家族が本人にどう関わるか。
  • 母親・父親・きょうだいなどが、本人の問題解決に向けて、どのように協力することができるか。

そのようなことを、よくご相談しましょう。
それは、家族に原因があるからではありません。
家族の力を利用して問題を解決します。

家族が良きカウンセラーの役割を果たすにはどうしたらよいか、ご相談しましょう。


2014年6月9日月曜日

我々老眼族

「ひきこもり脱出支援…」は本当に参考になり,良い本だと思った.しかしコラムを灰色地にするのはケシカラン!我々老眼族には読めないでないか.せめて周りを線で囲む程度にしてもらいたい.

本を読んでいただき、またご指摘ありがとうございます。
配慮が足りず失礼いたしました。今後の著作では気をつけたいと思います。

質問をされた方は「我々老眼族」ということで、ご年配の方と推察いたします。
最近は、本人が30代、40代、ご両親も60代、70代のご相談が増えています。ひきこもりの長期化・高齢化がこれからの問題として深刻になってきています。
本の中でも述べましたが、ひきこもりが長くなり、本人の年齢も30代後半を過ぎると、就労という形の社会復帰はきわめて困難になり、支援の目標としてはずさなくてはならなくなります。しかし、そのままで良いかというとそうではありません。このような世代の方にもぜひご相談にいらしていただきたいと思います。

というのも、最近の介護現場で、子どもから高齢者の親に対する老親虐待が増え、その背景に成人となった子世代のひきこもりが指摘されています。彼らは何歳になっても自己万能感の自我から抜け出せず、「自分がこうなったのは親のせい」と親を責め続け、親に対する怒りを解決できないまま年月が経過します。やがて、親世代の介護が必要な状況になり、子世代が親に関わろうとすると、心中に秘めた怒りの気持ちが老親虐待となってしまいます。

このような最悪の事態を避けるためにも、親子が普通に交流し、話し合える状態にもっていく必要があります。つまり、長期化したひきこもりの場合、相談の目標が「ひきこもりの脱出」ではなく、「家族同士の交流の再開」に変化します。

どうぞご相談にいらして下さい。

2014年6月5日木曜日

ひきこもり脱出講座参加者の声

「ひきこもり脱出講座」では十数名の同じ参加者が毎回3週間おきに計6回集まります。私からの講義もありますが、皆さんから家族の様子を毎回お話ししてもらいます。
すると、あら不思議、子ども本人は参加していないのに、今まで動かなかった子どもの様子がどんどん変化していきます。なぜなんでしょう?

Aさんの感想です。
今日も参考になるお話をたくさん聞くことができ、前向きなものを頂きました。
親が変化しようと思い続け、肯定しようとする気持ちがあれば、親がこれといって何かを言ったり具体的なきっかけを与えなくても、子どもは親の雰囲気を感じ取って変化する時が来るのですね。
家族の力でひきこもりから脱出できるのかもしれない!
と思うと、希望がわき元気になれます。
家族にできることは、見守り、心配すること以外にもたくさんあるんだと、今の段階で知ることができ、講座に参加して良かったです。

そう、みなさんそうですね。
何か講座で学んで、改めて子どもにこう接しようとか、これを伝えようと、身構えて何かをするわけでもありません。ただ、普通に普段の家族生活を続けているだけです。
でも、講座に参加した親の気持ちは確実に変化しています。今まで、子どものひきこもりのことについて「どうしてよいのか全くわからない」状態だったのが、何となく希望や元気が湧いてきます。それは、私からの講義内容もあるかもしれませんが、同じような体験をお持ちのみなさん同士がお互いに状況や気持ちを語り合うことがとても良い効果を与えています。
親が新たに獲得した元気さや希望が、具体的な言葉に出さなくても子どもに伝わり、子どもも何となく元気になっているようです。

Bさんの感想です。
講座に参加しても、今までは
「子どもをソトの世界に押し出すには父親が必要。夫婦でキャッチボールをしなければならない。」
ということが頭にこびりついて、それがとても高いハードルで、とても前に進む勇気がありませんでした。
先日の講座で、田村先生が「皆さんは進化するためにこの講座に参加している、、」というようなお話をされました。
それで、私は考え方のハードルを下げようと思いました。
「講座で言われたことができなくても良いんだ。いつか出来るかもしれないけど、今でなくてもいい。今は出来ないのだから。講座を受けるだけでも私には前進なのだから。」
開き直ることができました。
講座で先生や皆さんのお話を聞いているだけで、心が和らぐのがわかります。

とても良い「開き直り」ですね。
Bさんの言葉は、同じように考えていらっしゃる多くの方々に元気を与えるでしょう。
これは、まさに心理学でいう「レジリエンス」(逆境を跳ね返す力)なんです。
どの人間も、あるいはどの家族も、元気な部分とダメな部分の両方を持っています。
ダメな部分が悪さをして、病気や問題が起こります。従来の心理学では、ダメな部分を見つけ出して治して改善したら良くなると考えてきました。
でも、レジリエンスという新しい発想はちょっと違います。
人間はダメを取り除く必要はありません。もちろんダメな部分が少ない方が良いのですが、ダメさを全部なくすなんて非現実的でしょう。
だから、ダメはダメで良いんです。むしろ大切なことは、元気な部分を増やそうとします。そうすれば、ダメな部分があっても、問題や病気を乗り越えることができます。
Bさんは、夫婦のキャッチボールができないというダメな部分はとりあえず置いといたままでも、心を和らげ、元気になることができました。それで良いんです。その元気さを家族に伝えればOKなんです。

Cさんは、講座が終わった後、私の方へやってきて、何か質問されるのかなと思ったらそうではなく、レシピをひとつ教えてくれました。
「簡単だけど豪華なレシピなんですよ。新玉ねぎを丸ごと皮をむき、電子レンジで4分チン、そしてひっくり返してまた2分チン。あとは適当なタレをつけて出来上がり!
とても簡単でしょ!」
というのも、講座の話の中で、私が「家事が大変なんです」みたいな打ち明け話をしたもので、Cさんは良い情報を教えてくれました。
その晩、さっそく作ってみました。
とても、美味しかった!
そりゃあ、食べ物の味は主観ですから「美味しい!!」とも言えるし、「まあ大したことない、普通だよね!」と言おうと思えば言えます。

でも「絶対おいしいですよ!」と語るCさんの表情は自信に満ちていました。
そう言われると、私もつられて「うん、確かに美味しい!」とホントに思ってしまいます。

その自信なんですよ、大切なのは。
みなさんが初回の時に家族のことを話す表情に、自信なんかありませんでした。
でも、回を重ねるにつれ、だんだん表情が変わってきます。
少しずつ元気や自信が芽生えてきます。

そういう自信に満ちた表情をされると、相手も何となく根拠はないけど元気が出てきてしまいます。
その表情で家族に向き合えば、家族みんなが自信を持てるように必ずなります。

2014年6月3日火曜日

人に会いたくない場合の無料相談

Q)外出したくない・人に会いたくない・いつも不安になる・死にたいと思う事がある!多分、うつ病だと思うのですが・・・お金が無くて病院に、なかなか行けません。どうしたら良いでしょうか?

A)人に会いたくないということですので、病院など先生と直接会って相談することには敷居が高いと思われます。その場合は面談よりも、電話やメールでの相談から始めてみてはいかがでしょうか。今は、さまざまな無料相談が行われています。

いのちと暮らしの相談ナビ
http://lifelink-db.org/

では、さまざまな用途に応じた相談先を紹介しています。
無料相談ではさまざまな制約があるかもしれませんが、ひとりで悩まず、相談してみることをお薦めします。

2014年5月30日金曜日

スネップ

民放テレビ局から中年のひきこもりに関する番組の出演依頼が来た。
一端引き受けたが、さらに内容について電話で相談した結果、お断りした。

午前中の奥さまワイドショー的番組のディレクターから打ち合わせの電話があった。

「中年のひきこもりで、親のすねをかじって遊びほうけているような例はありますか?」
ひきこもりの例はたくさん知っていますが、そんな例はありませんよ。外で遊びほうけることができるほど元気なら問題ないのですが、実際はそんなことできません。

「ひきこもりは精神病というか、もっと暗いのですか?」
いや、精神病でもないのですが、暗いというより、精神的には弱者ですね。

「最近は『スネップ』というように、彼らは親のすねをかじってけしからんという文脈に持っていきたいのですが。」
それは私が普段支援している方向性と真逆ですね。ただでさえ、ひきこもりとその家族はまわりからの偏見の目を恐れているのに、そのような趣旨では、ますます偏見を強めてしまいます。それではお引き受けできません。

というわけで、断った。

番組ディレクターから聞くまで「スネップ」などという言葉も知らなかった。親のすねをかじるから「スネっぷ」なのではなく、
SNEP (Solitary Non-Employed Persons、孤立無業者)という和製英語のようだ。また、変な言葉をこしらえたものだ。

まあ、一般社会の精神病やひきこもりに対する理解はそんなものなのだろう。
テレビのワイドショーは、芸能人や犯罪など社会の「闇」の部分を暴き出し、怖いもの見たさの視聴者の関心を引き、それに比べれば私はまだマシだわという安堵感を与えようとする。社会の中に批判するべきターゲットを作った方が、ターゲット以外のマジョリティーに属するアイデンティティを与えることができる。
私は臨床の仕事をとおして、ひきこもりのような心理的弱者(マイノリティー)を、病気や怠け者といったマイナスのラベルを剥がし、偏見から解放したいと思っている。

来週、お台場のスタジオに生出演する予定だったのだが、事前に番組の趣旨を知り、「社会的・報道的弱い者いじめ」の加担をせずに済んで、ホッとしている。

2014年5月12日月曜日

老親の夫婦間暴力(DV)の相談

Q)私の両親は高齢ですが、こちらでのカウンセリングの対象になりますでしょうか?
 父と母は70歳代です。父は若い頃から神経質で短気なことから、母も一人娘の私も常に顔色を窺いながら生活してきました。最近その性格はエスカレートしており、特に同居している母に対し暴力的な発言や脅しは日常で、更にお酒がはいると物を壊したりと見過ごせない状況になっています。
 父の言い分としては、母の言動が自分をこうさせるということですが、私が見る限り母の落ち度は一切感じません。母は話し合うことも諦め、父の気が済むまでひたすら耐え、とりあえず謝まるという日々が続いています。忍耐強い母でしたが、最近さすがに精神的に疲れているようです。
 私も交え話し合いを試みても、父が興奮してしまうので結局は進展はありません。父は自分も苦しいんだと言っています。もともとの性格的なところもあるのでしょうが、年齢と共にエスカレートしていることから病的なものもあるのか心配です。
 このように高齢の夫婦で、また、病気かもしれない場合でもこちらのカウンセリングの対象になるのでしょうか?

A)はい。カウンセリングの対象となります。
お話を伺う限りでは、認知症を含め何らかの病気というよりは、お父さまの元々の性格が年齢とともに先鋭化してご夫婦の関係性に悪影響を与えているようにお見受けします。
カウンセリングは、「困っている。どうにかしたい。」という動機づけ(困り感)が高い人がどなたでも大丈夫です。

もし、お母さまの「困った。だれかに相談したい」というお気持ちが強ければ、どうぞご相談にお越し下さい。おひとりでも、娘さんとご一緒でも結構です。まずは、精神的な疲れを回復することが先決です。

もし、お父さまも「妻の言動が問題だ!」と言う形でも結構ですので、何らかの問題意識をお持ちであればどうぞご相談にいらして下さい。本当はお父さまも何か別の葛藤を抱え、それを妻や物にあたるという形でしか表現できないのかもしれません。

もし、ご両親が困ってはいるが、他の人に相談するのは躊躇されるようでしたら、まずは娘さんおひとりで相談に来られても結構です。事情をよく伺い、娘という立場からご両親に対して何ができるか、あるいは、どのようにご両親に働きかけたらカウンセリングに来る気持ちになることが出来るかということをご相談できます。

このようにして、第三者が閉ざされた家族内の問題に関わることで、必ず問題は解決されます。

2014年4月4日金曜日

家族療法連続講座のお知らせ

今年度より、田村研究室では心理援助者を対象に家族療法の講座を開催いたします。

目的
家族療法の理論と技法を基礎から学び、日々の臨床で、家族をうまく扱えるようにする。

対象者
心の支援に関わる専門家(医師、看護師、心理士、ソーシャルワーカーなど)
心理系の大学院学生など。

講座内容
講座は3つのモジュールから構成されます。。

モジュール1(基礎編)
座学とディスカッションを中心に、家族療法の考え方の基本を学びます。家族療法特有のものの見方、他のカウンセリング理論との違い、家族のアセスメント、複数のクライエントとの関わり方などの基礎を学びます。二回の日曜日に開催いたします。

モジュール2(実習編)
2日間集中して家族療法の基本となる実習を行います。ジェノグラム(家系図)実習、家族面接のロールプレイ、セラピスト自身の家族を振り返る実習などを通して家族関係を共感的に理解し、臨床現場で家族に関わる経験を深めます。

モジュール3(臨床編)
家族療法の臨床応用について学びます。具体的な事例検討やロールプレイを取り入れて、家族のアセスメント、家族に対する面接技法などを実習を通して学びます。月1回、土曜日の晩に開催します。

3つのモジュールを通した受講をお薦めしますが、各モジュール単独で受講することもできます。

使用教材
日本家族研究・家族療法学会編「家族療法テキストブック」(金剛出版)

日程
モジュール1. (12時間)
2014年6月15日(日)
1000-1300 セッション1
1400-1700 セッション2

2014年7月13日(日)
1000-1300 セッション3
1400-1700 セッション4

モジュール2. (12時間)
2014年8月2日(土)~3日(日)(2泊3日)
2日(土)900-1200 セッション1
     1300-1700 セッション2
3日(日)900-1200 セッション3
           1300-1600 セッション4

モジュール3. (12時間)
1)9月6日(土)1800-2000
2)10月4日(土)1800-2000
3)11月8日(土)1800-2000
4)12月13日(土)1800-2000
2015年
5)1月17日(土)1800-2000
6)2月14日(土)1800-2000

開催場所
田村毅研究室(西麻布)

講師
田村 毅

受講料
各モジュール:3万円(税別)(各モジュールの初日に徴収いたします)
3モジュール一括で申し込む場合:8万円(税別)

申込方法
5月より申し込みを開始いたします。
現在、予約受付中。(メールでご連絡ください)

今後、具体的な内容が決まり次第、順次こちらに掲載します。

2014年4月2日水曜日

めまいが止まらない70代の女性

Aさんは70代の女性。40代の息子さんと一緒に住んでいます。

外に出るとふらつくので、倒れるのではないかと怖くて、ひとりでは外に出られません。本当はひとりで出歩いて習い事をしたり、自由に買い物などをしたいのだけど、誰かと一緒に出ないと、倒れたときに誰もいないので怖くなります。やがて自分の死を迎えることを考えると怖くなる、ということで相談にやってきました。自らは相談しようとは思いませんでしたが、習い事の先生から勧められて、思い切って相談に来てみました。

Aさんは、豪商の家庭に生まれ、裕福な家庭でのんびり育ってきました。欲しいものは何でも買い与えられ、家の中でわがままで育ってきたと思います。
恵まれた結婚をしました。10歳離れた夫は著名な学者で、一流の大学で教えていました。結婚当初はなにひとつ不自由することなく、3人の子どもを授かりました。しかし、その夫とは子どもたちが幼い頃に離婚しました。夫は努力家で、学者という立派な地位を持ち、社会的には成功しましたが、家のことは無関心で、休みの日にはほとんどゴルフに出かけて、子どもたちの世話をすることはありませんでした。しかしそれが離婚の原因ではありません。一番大きかったのは夫の母親とうまくいかなかったことです。同居していた義母とはうまくいかず、夫に助けを求めたのですが、夫はいつも自分の母親の味方をして、妻であるAさんを支えてくれませんでした。別れた夫はその後再婚し、今は認知症が進行して養護施設で生活していると聞きます。

それでも、子どもたちは立派に成長しました。3人とも有名大学に進学し、上のふたりはそれぞれの家庭を築いています。孫たちの顔も見せてくれました。気がかりなのは末の次男です。40代ですが独身のままでAさんと同居しています。仕事で多忙だし、家のことは何もできないので、母親であるAさんが身の回りの世話をすべてみています。とても優しい息子ですが、将来、独り身のままでどうなるのかが心配です。

15年ほど前にAさんの母親がガンでなくなりました。それがとてもショックで当時はずっと泣いていました。Aさんは離婚してから、母親がずっと面倒を見てくれていました。母親を亡くし、どう生きていったらよいかわからず、また自分自身の死についてもとても怖くなりました。そのころから体調が思わしくなくなり、いろいろな病気にかかり、内科や耳鼻科、眼科、脳外科など、たくさんの医者にかかりましたが、ふらつきは一向に良くなりません。精神科の先生とももう10年以上のつきあいです。先生からはうつ病や自律神経失調症ではなく、不安症候群と言われました。ホルモンを調べても、脳のCTをとっても異常はみつかりません。精神安定剤をずっと飲んでいるのですが、自分に薬が合っていないようで、飲めば気持ちは落ち着くのですが、ふらつきと目まいはぜんぜん治りません。でも先生は「必ず治るから、ゆっくり治してゆきましょう」といつも言います。

以上が、Aさんの様子です。
Aさんの心の健康をどう理解したらよいのでしょうか。

Aさんは、ずっと精神科にかかり、薬を飲んでいます。不安神経症という病名はついているので、精神的な病気ではあるのですが、病気というよりむしろ生き方の問題と考えたほうが良さそうです。
生き方の「問題」というのも語弊があるかもしれません。むしろ、生き方そのものです。

Aさんは恵まれた家庭に生まれ育ち、わがままに育ってきました。それが悪いということではありません。そのような環境の中で、立派な男性と結婚して、立派な子どもたちを育て、ひとりの女性として尊厳のある生き方をしてきました。

しかし、人生には様々な困難があります。今の世の中では離婚も社会的に認められるようになりましたが、Aさんが離婚した時代には、離婚=結婚の失敗と考えられていたでしょう。Aさんはそんな逆境にも耐え、自分を大切に愛してくれた母親の喪失にも耐えてきました。

その後、体調を崩し、めまいとふらつきがどうしても治りません。私は、むしろめまいとふらつきの症状は治らない方が良いと思います。もし、治ってすっかり元気になってしまったら、医者の支援を受けることもなく、子どもたちも母親のことをそれほど気にせず、ほって置かれてしまいます。そうすると、Aさんはますます孤独に陥ります。Aさんは、症状に悩みながらも、なんとか習い事をこなし、子どもが付き添ってくれれば買い物や外出を楽しむこともできます。Aさんの人生は健康問題を抱えながらも十分に幸せであると思います。しかし、自分が幸せと言ってしまうとまわりからの同情と支えを失ってしまうかもしれません。子どもたちや社会福祉に適度に甘える人生であっても、それは尊厳あるひとりの人の人生の選択として、十分に価値あるものと考えます。


Aさんの心の病気は治すべきものではなく、それを抱えつつ、家族や社会の人々とうまく関わり、価値ある人生を全うすることです。

2014年4月1日火曜日

ひきこもり脱出講座(5)

ひきこもり脱出講座(5)
~ひきこもりを家族の力で解決しよう~
講座内容
社会との接点を失いひきこもる人に家族は何をできるのか。一般論ではなく、個別の状況に応じた解決策を見出します。
  • なぜひきこもるのか?(ひきこもりの理解)
  • どうやったらひきこもりを脱出できるのか?(解決策)
  • 親の声のかけ方、かかわり方。母親の対応と父親の対応(家族関係)
対象者
  • ひきこもりの方を抱えるご家族の方(親、その方のきょうだいなど)。
  • 講座の初回は個別の面談となります(約30分)。
  • 今までは週日の昼間に開催していましたが、今回は2回の週末(土曜の午後と日曜の午前)に集中して開催します。ご両親、あるいはごきょうだいなど複数の方でご参加ください。
開催日時
全5回。
  1. 事前個別面談(各々ご都合の良い日時を設定します。)
  2. 2014年8月 9日(土) 15:00~18:00
  3. 2014年8月10日(日) 10:00~13:00
  4. 2014年8月30日(土) 15:00~18:00
  5. 2014年8月31日(日) 10:00~13:00
(すべてに参加されることを原則としますが、ご都合で欠席しても構いません)

参加費用・定員

定員 : 10名 
参加費 : 
おひとりでの参加 30,000円(税別)
おふたりでの参加 55,000円

申し込み
  • お電話、もしくはウェブからお申し込みください。
  • 申し込み締め切り:7月末日
  • ご夫婦(もしくはごきょうだい)複数での参加をを原則としますが、定員に余裕があれば、おひとりでの参加もお受けいたします。
  • ご夫婦・ごきょうだいなど複数で参加される場合は先着順でお受けいたします。おひとりでの申し込みは受付後、8月1日に参加できるかご回答いたします。

2014年3月4日火曜日

新刊書の冒頭部分のご紹介です

うちの子が長い間ひきこもっています。
何も言わなければ平穏な日々なのですが、「これからどうするの?」と将来のことを話するとイライラして暴れだします。
何も言えないまま何年も経過しました。どうしたらよいでしょうか。

 私は精神科医として、また家族療法家として、ひきこもりの家族からこのような相談を数多く受けてきました。
 困った状態が長い間続いています。その間、いろいろ本人に働きかけたけど、うまくいきません。なぜひきこもっているか理解できない。親としてどうしたらよいかわからない。どうすることもできないと諦めていす。

 私がこの本で一番伝えたいことは、家族ができることがたくさんある、諦める必要はないということです。家族が元気を取り戻し、子どもと関わる自信を回復する方法をお伝えします。家族はとても大きな力を持っています。家族がその力を活用し、前を向いて子どもと関わると、子どもも前を向いてひきこもりから抜け出すことができます。

(中略)

  一日中家にいて好きな時間に起きて、好きな時間に寝て、やりたいことだけをやっていて、まわりからは自由気ままに楽をしているように見えます。しかし、心の中は全く自由ではありません。人と関わる自信を失い、将来が見えない不安を抱え、悩み苦しんでいます。
 家族も同様です。親としてどう関わって良いか見失い、自信を失っています。親のしつけや関わり方が悪かったとまわりから責められ、親としての自分を責めたり、夫婦がお互いを責め合うなど、親も傷つき、心を痛めています。

 その結果、親が子どもに関わる自信を失い、子どもは社会の人々と関わる自信を失うという自信喪失の二重構造に陥ります。どうしたらこの悪循環を断ち切り、家族も本人も元気になれるのでしょうか。その答えを求めて、私は3年間ロンドンで家族療法を学びました。

--------
の「まえがき」の冒頭部分をご紹介しました。

2014年3月3日月曜日

新刊のご案内



田村毅著「ひきこもり脱出支援マニュアル:家族で取り組める実例と解説」(PHP研究所)

やっと二回目の校正が終了し、私の手から離れました。多分、3月の下旬頃に全国の書店に並ぶと思います

昨年末12月くらいからお尻に火をつけて(笑)、必死に書いていました。仕事と家事と友だちとのお付き合いと(スキーや会食など)、生活に必要な時間以外は、お正月休みもすべて執筆に費やしていました。だから年賀状のお返事もまだ書けていません。

ここ最近のブログの記事も、この本の原稿を書きながら、つまみ食い的に紹介していました。

実は同じ出版社から10年以上前に斎藤環が「ひきこもり救出マニュアル」という似たタイトルの本を出しています。彼と私は若い頃、同じ研究室にいたので発想が似ている部分もありますが、かなり私の個性を出してしまいました。それは、家族療法の視点に、私自身のキャラである「熱き想い」が加わったのかなと、校正で自分の書いた文章を読み返して感じました。そういう「想いを伝える」というあたりが私の生き方であり、臨床場面にも現れていると思います。人と人との熱い関わりを取り戻そうとする姿勢ですね。

本書は、ひきこもりのお子さんを持つご家族へ語っています。
次は、「男性」の内面に語りかけるような男性についての本を構想しています。

2014年2月26日水曜日

肯定する力が子どもを甦らせる

Q 息子がひきこもりになってしまい、主人といろいろ手を尽くしてみたのですが、なかなか改善されず、途方にくれてしまいました。家族がいる限りは、自分の部屋のベッドで過ごし、外出はいっさいしません。風呂に入らなくても平気で、悪臭に悩まされていました。

 ところが、夫の仕事の関係でゴタゴタがあり、息子の力を借りなければ、どうにもならない状態になってしまい、思い切ってひきこもっている子にSOSを送りました。最初は、相変わらず無反応だったのですが、親として立ち直ってくれると信じ続けてきたことや、母がどんな思いで産んだのかなど、いまでも思い出せば泣けてくるほど訴えました。

 それでも無反応な息子に対して、夫までもがついに大声をあげてしまい、もうだめかなと思ったとき、私が夫に「この子は絶対に力になってくれる子だよ、誰が信じなくても私は信じる」と言うと、息子はすっと起きだして「明日から手伝う」といってくれました。以来、毎日家の仕事を手伝ってくれています。食事も一緒にできるようになり、ふつうに会話できるようになりました。

A これが子どもの問題を救う家族の力です。ご家族の災いが転じて福となすとは、まさにこのことでしょう。

 母親が真剣に訴え、父親までもが大声を出し、もうダメかなと思ったときに、とっさに母親とった行動が息子の心を開く力になりました。親が子どもを信頼する力がお子さんに伝わった瞬間です。家族を信じて肯定する力が生まれると、息子さんは見事に親の言葉を受け取ることができました。それまでひきこもる息子が家族の問題役を引き受けていました。ところが、それ以上に大きな問題が家族の中に生じて、息子さんは問題を抱えた人の役から家族の問題を救う人の役に転換しました。ひきこもりという悪役を演じているうちは何も動きませんが、ひとたび家族を救うヒーローの役を与えらえると自ら進んでその役を引き受けます。

そのやる気を導き出したのがお母さんのひと言でした。「この子は力になってくれると絶対に信じる」という肯定的な期待が、息子さんのなかに長年眠っていた頑張る力を目覚めさせました。素晴らしいご家族です。

 以前の息子さんは自室にこもり、風呂に入らず衛生観念さえ失った状態は、正常な思考能力が失われた心の病気さえ疑わせます。それまでどんな手を尽くしても動かなかった息子さんは、親のひと言でみごとに意欲を回復しました。

 やる気や自信という人の意欲は、その人自身に備わった固定的な属性ではありません。その人が生きている文脈の中で流動的に変化します。失敗体験やまわりの人からの否定的なメッセージという文脈が与えられると、意欲は全く発揮されず、うつ状態やひきこもり状態に陥ります。ところが、その文脈が肯定的な期待に塗り替えられると、息子さんのように一気にひきこもり状態を脱し、意欲を回復することができます。

 それを可能にしたのがまさに家族の力です。

2014年2月17日月曜日

腫れ物に触るような対応

Q 子どもは学校が合わずに退学して以来、家にいます。アルバイトも何度か面接に行ったのですが採用に至らず、働いたことがありません。何度も家族会議を開き、働くように勧めたのですが、「いま自分で探している」などと言い訳をして、結局、家から出ようとしません。親も腫れ物に触るようなところがあって、なかなか突っ込んだ話ができません。

 このままでは外に出る機会がどんどん少なくなり、本人の将来が心配です。本人が外に出て、簡単な作業でもかまわないので働くことを始め、友人たちとの付き合いも再開できるよう、親はどのように勧めていけばよいでしょうか。

 いままで、私と妻は真剣に考えてきたつもりですが、こういった相談機関を訪ねたこともなく、真剣さが足りなかったと思います。親としてどういった態度と行動をとればよいでしょうか。兄は「親がしっかりしていないとダメじゃないか」と自分の意見を言ってくれます。

A もっと積極的に話しかけ、仕事に就くよう勧めてください。
 何度も家族会議を開くほどお子さんに働きかけ、努力されているのに突っ込んだ話ができていないと感じ、お兄さんからみると、「親がしっかりしていない」と見られているのですね。ということは、親がもっと深く介入できる余地が残されているということです。

突っ込んだ話は難しいものです。親は子どもに向き合う勇気が必要です。突っ込み過ぎたら、傷ついてしまうかもしれない、壊れてしまうのではないかと心配します。どれくらいまで突っ込んで大丈夫なんだろうか、どれくらいでやめておいた方が良いのだろうか、判断に迷います。

腫れ物に触るようにという表現は、機嫌を損ねやすい人に恐る恐る接する時に使います。そのような接し方では子どもは自立できません。親がしっかりするということは、伝えるべきことをしっかり子どもに伝える勇気を親が持つことです。子どもは傷つくことで万能的自我から決別し、家から出る自信を獲得できます。親から突っ込まれて傷つき、それを修復する体験を得ることができれば、ソトの世界で他人から傷つけられても何とか修復できるという自信を得るので、ソトに出ることを恐れなくなります。このようにして、親の力で子どもをソトに導くことができます。

親がそれを実行するためには、親が子どもに対する肯定的なイメージを保持していることが必要です。子どもは傷ついても崩れることなく乗り越えるだろうと予想するので、何も恐れることなく子どもに伝えるべきことを伝えます。その逆に、子どもに対する否定的なイメージを持っていると、この子は少し強く言うと傷ついて機嫌を損ね、崩れてしまうだろうと予想します。親は腫れ物に触るようにしか子どもに接することができません。子どもは傷つきを乗り越えるチャンスが得られないので、ソトに出る自信も得られません。

本人はともかく、まずは親が相談機関を訪ねてみてはいかがでしょうか。どのように接したらよいか自分自身ではわからなくなった時、専門家に今まで行ってきた親の接し方や態度を説明して、親としてやってきたことを振り返ることができるので、いままでは見えなかった新たな方策がきっと見つかります。ただ、相談に出向くというということもリスクを伴います。相談しても相手がよく理解してくれなかったり、期待外れだったり、話すことで傷ついたりするかもしれません。

でも、そのリスクを覚悟で行動してみることが大切です。傷つくリスクを避けるのではなく、リスクに向き合います。親がそのお手本を子どもに示すことができれば、子どももソトに出るリスクを回避せずに向き合えるようになります。

2014年2月15日土曜日

薬が効くのか、カウンセリングが効くのか?

Q 精神科医に相談したら、薬の服用を勧められました。抗精神薬のようですが、ひきこもりに薬物療法は効くのでしょうか。

A 効く場合もありますが、私が経験する大多数の例で、薬は効きません。
 効くか効かないかの違いは、ひきこもっている原因が何かによります。もともと生物学的な異常が原因で、ひきこもっている場合は効きます。たとえば、大脳の神経細胞をつなぐ神経伝達物質に異常があり、その結果として統合失調症やうつ病などが発症する場合、抗精神薬は大脳の神経細胞に効いて効果を現します。生物モデルで考えた治療が功を奏します。
 そうではなく、もともと学校や家庭のストレスがあったり、思春期の心の成長がまわりに追いついていかないためにひきこもっている場合、大脳の神経細胞に異常はみられません。したがって、いくら薬を飲んでも、原因となるストレスや心の成長の問題が解決されない限り、ひきこもりは改善しません。この場合は生物モデルはあまり役に立たず、心理モデルによるカウンセリングや、社会モデルによる居場所づくりや就労支援などが役に立ちます。

 しかし、実際には脳の異常が先か、ストレスが先かという話は「卵が先か、ニワトリが先か」のような堂々巡りで、はっきり白黒がつきません。どうしても、判断する人の経験と主観に頼らざるを得ません。日本の医者は投薬治療が中心で、カウンセリングをしている時間がありませんから、脳の異常が先と診断します。心理カウンセラーは薬を処方できず、カウンセリングがメインですから、ストレスや心の成長が先と判断します。その効果を試すために、2-3週間ほど薬を服用してもらい、効果がなければ薬を止めて、カウンセリングを中心に治療を行うといったこともよく行われます。


Q ひきこもりには、カウンセリングが有効と聞きましたが、カウンセリングで治るのですか。カウンセリングとは、具体的にどうするのですか。

A 本人がカウンセリングを受ける気持ちにさえなることができれば、カウンセリングはとても効果が高いです。信頼できるカウンセラーに十分に自分の気持ちを語ることで、気持ちが整理され、いままで見えてこなかったものが見えてきて、自信を回復するからです。
 カウンセリングは、クライエントの疑問や悩みをに対して、カウンセラーから適切なアドバイスを与えます。そのように想像される方が多いと思いますが、これは本当のカウンセリングではありません。ごくまれに、アドバイスや指針で問題が解決することがありますが、ほとんどの場合、これでは問題が解決しません。なぜなら、単純にアドバイスでできるようなことは、既にカウンセリングに来る前に自分自身で試みている場合が多いからです。それでもうまく解決できないから相談にやってくる方がほとんどです。
 本来のカウンセリングは、カウンセラーがアドバイスや指針をクライエントに対して語るのではなく、その逆にクライエントがカウンセラーにたくさん語ります。何をどのように語るかは、カウンセラーからヒントを差し上げます。その枠組みに沿っていろいろ語っていくなかで、いままでとは違う見方が見えてきます。
 私たちの日常生活は、パターン化しています。何がどのように困っているかという現実認識も、一つのパターンにはまっています。それをカウンセラーという他者から別のパターンが与えられると、いままで語られれいなかった部分や、わかっていながら語ることが躊躇してうまく語られなかった部分にも光が当たり、新たな視点が見えてきます。すると今までいかに狭い思考範囲のなかにはまっていたのか、ということに気がつきます。

 ある女性は、カウンセリングの感想を次のように語っています。
「はじめて他の人に、これまでのことを好きなように語りました。語っているうちに、いろいろなことに気づきました。」
 これがカウンセリングの効果です。この女性のお話の内容は、とくに新しいことではありませんでした。いままで考えたり悩んできたいつもと同じ物語なのに、カウンセリングの場であらためて語ると、何かがいままでとは大きく異なって見えてきます。
 自分のことや家族の悩みや問題は、自分の自尊心や自信を奪うので、平常心で語ることができません。封じ込まれた物語を語ろうとすれば怒りや罪悪感、恥や不安などの否定的な感情が飛び出します。病気のせいか、自分のせいが悪いか、相手のせいか、よくわからないけど何かが悪いことだけは確かです。できれば語りたくないと縮こまって語ってみたところで、何か新しいものが見えてくることはありません。
 同じ話を信頼できるカウンセラーの前で語ってみます。いままで自信を失わせていた感情を安全に解き放すことができれば、逆に語ることが自信につながるのです。それまで人には語ってはいけないと思っていた恥の領域だったものを、カウンセラーが恥や罪の意識なしで肯定的に受け止めます。すると、過去に起きた事実は変わらないけど、その意味づけが大きく変わります。つまり、人に語ることが禁止されていた自分だけの恥の物語が、他者に語り他者と共有しうる一般的な物語に変換されます。
 そうすれば、もう恥ずかしく、自尊心や自信を奪うような体験ではなくなります。そして、前向きな元気が出てきて、自然と身体の調子も良くなり、仕事や日常生活、そして人との関係もプラスに回るようになります。このようにして、ひきこもりの問題もゆっくりと氷解していきます。

2014年2月4日火曜日

両親の仲が悪くても自信を失うことはない

Q 娘は、長い間ひきこもり、「親の育て方が悪い、私の一生は親にめちゃくちゃにされた」とあたります。夫婦の折り合いが悪く、別居中なので、子どもの言うこともわかります。かわいそうに思います。謝ったほうがよいのでしょうか、それとも取り合わないほうがよいのでしょうか。

A 親として、至らなかったところがあれば、子どもに対して率直に謝りましょう。
両親の仲が悪いと、子どもに大きな影響を与えます。たぶん、娘さんもたくさん傷つき、いくつかの観点からひきこもっている要因と考えることもできます。

第一に、仲が悪い様子が子どもに心理的な外傷を与えます。両親が言葉や腕力の暴力でお互いを傷つけたり、無視して口を聞かなかったり、家出したりというようなシーンが繰り返されると、子どもの外傷体験となって残ります。一つの出来事はそれほど大きくなくても、繰り返されることにより恐怖感が積み重ねられ、結果的には大きな不安や恐怖をずっと抱えることになります。

第二に、親密なはずの家族という人間関係が安全ではなく、お互いに傷つけあうという見本を子どもに示してしまいます。思春期は、自らの力で家庭外に親密な関係を築き始める時期です。親が傷つけあっている姿がモデルになると、相手を信頼して親密な関係を築こうとしてもうまくいかないのではないかと、不安になります。

第三に、子どもと近い親が、子どもを自分の味方に取り込んでしまい、夫婦のバトルに巻き込まれてしまいます。多くは、母親が夫に抱く嫌悪感を意識的あるいは無意識的に子どもに投影してしまいます。子どもは親に好かれようとするために、母親に同調して父親を敵対するようになります。親しいはずの人を憎しみ遠ざけることを親から学び、自分の友達に対しても同様な気持ちを抱くようになります。

 このような気持ちから、子どもは親に対して、怒りの気持ちを抱きます。それを表現したら爆発しますし、表現できないと攻撃性が内に秘められて、語ることができない怒りのエネルギーが子どもを生きづらくします。子どもが成長する上で、大きなハンデを負うことになります。
そのことは、親自身が素直に認め、子どもに対してすまなかったと謝りましょう。子どもに対して、親自身の過ちを認めることはつらいことです。親の威厳が損なわれて、子どもに低く見られるのではないかと思うかもしれません。でもそれは違います。むしろ、親が自分のことを認めず、きちんと謝ることができないと、子どもはそれを見抜いて馬鹿にします。

親が素直に現実を認める勇気を子どもに見せると、子どもも現実を直視する勇気を持つことができます。親が自分の人生と家族関係に責任を持つことができると、子どもも自分のことに責任を持つことができます。どんなに育ちにくい逆境があったとしても、そのせいで私の人生がダメになったという考え方は、責任転嫁です。自分で責任を負うとしていません。確かに、大きなハンデは負っています。しかし、夫婦仲が悪いという逆境でも、ひきこもらずに元気にしている子どももたくさんいます。

親の態度として大切なことは、下を向かずに前をしっかり向くことです。夫婦仲が良くなかったのはとても残念なことですが、3組に1組は離婚する時代です。夫婦仲が悪いのは、まれで特殊なことではありません。よく起こりうることです。本来は仲が良いべきですが、うまくいかなかったことは素直に認めて、子どもにもそれを示します。
その上で、前を向いて、自信を持って進みます。自信を失い、気弱になる必要はありません。子どもが失敗したことを、親に責任転嫁しようとする態度を親が認めてはいけません。子どもの苦しみは理解してあげましょう。親自身の苦しみも自分自身で受け止めます。親も子どもも、自分で自分のやったことに責任を取る習慣を身に着けます。

親自身の失敗を悔いて自信を失うのではなく、限界や欠点を認めたうえで前向きに生きようとする態度を親が示せば、子どもも同じように振る舞うことができます。人との関係性に失敗して傷ついても、ひきこもって関係性から撤退することなく、難しい対人関係に前向きに向かうことができます。

2014年1月27日月曜日

父親の関わりが功を奏した例

Q 息子は小学校で先生に叱られ、同級生からもいじめられて深い傷を受けました。勉強で見返すしかないとがんばってトップの進学校に入りましたが、燃え尽きた感じで1か月で不登校になり現在に至っています。

 父親との関係が思春期の頃からうまくいかなくなりました。父親は仕事一筋でまじめな人間です。息子は「おやじに叱られた覚えがない」と言っていますが、母親の私からみてもそうだと思います。私は息子とは別に自分のカウンセリングを受けたりしましたが、夫はカウンセリングには全く無関心でした。

 去年に息子はついにリストカットして、大声で外に向かって叫んだり家の壁に穴を開けたり、家族として辛い日々が続きました。その頃から夫が少しずつ変り、息子と会話するようになりました。息子はまだ「親父を威圧的に感じる」と言いますが、会話も以前よりは増えています。息子は今ひとりで福祉のデイケア施設に行っています。辛かった去年のことを考えれば、今は快挙です。

 このまま夫婦で見守っていくつもりです。息子はまだ不安定で、家に帰ってくると外で受けたストレスを私たちに吐き出します。少しでも気持ちがやわらげばと両親は聞き役になっています。父親が話し相手になってくれると、息子はボソボソと話をします。父親の役目はとても大きいのだなと実感しています。

A ご両親の力で家族の危機を乗り越えた素晴らしい例です。

息子さんが父親に叱られた覚えがないのに威圧的に感じるというのは一見矛盾しているようですがひきこもりの子人によく見られることです。本当はマジメで優しいお父さんなのでしょう。しかし父親との接点が薄くあまり交流がないと、子どもは父親が何を考えているのか疑心暗鬼になり、必要以上に「脅威」に感じてしまいます。小学校の頃には権威者である先生や友達からの脅威やいじめを受け、それを挽回しようと勉強を頑張ったけれどうまくいかず、社会の人々と自由に交わるという壁を乗り越えられなかったのでしょう。

その壁を取り去ってくれたのが父親の関わりです。それまで息子さんにとっては遠い存在であるが故によくわからない脅威であった父親が自らアプローチしてくれて、徐々に人に対する威圧感を乗り越えることができました。このようにして子ども時代に他者から傷つけられた痛みの記憶を癒して、人に対する怖さを克服することができます。母親は子どもにとって身近で優しく、あまり怖くない存在ですので、この役割を担うことができません。威圧的に感じてしまう父親だからこそできる役割です。

多くの男性はカウンセリングを好みません。その理由として、まず他者に救いを求めることが苦手だからです。男性は昔から「一国の主(あるじ)」としてリーダーシップを発揮して我が家の価値をつくり、家族を外から守る役割を担ってきました。今はそのような家庭は少なくなりましたが、男性の心の中では自分が家族の意思決定の主体であるから、そう簡単に家族外の人に相談するべきではないという昔ながらの男性のプライドを頑なに保持していたりします。

また、男性は女性のように感情をうまく扱うことができません。男性たちは子どもの頃から不言実行、弱みを見せてはいけないと教え込まれてきました。悲しみ、不安、恐怖などのマイナスの気持ちは「弱音」とみなされ、それを他人に伝えることに大きな抵抗感を抱きます。本当は男性も社会や家庭でたくさん傷ついているのですが、その気持ちは自分の心の中に押し留めます。そして、それが耐えきれない程大きくなったときに、「怒り」という気持ちに変化して、まわりの人を攻撃します。男性としても本当は怒りたくないのですが、怒りによってしか自分の気持ちを表出する手段を持たず、結果的に妻や子どもとの距離を遠ざけるという悪循環に陥ってしまいます。

その点、あなたのご主人はとても偉いと思います。父親がひきこもる子どもを心配すると、不安の気持ちが怒りの気持ちにスイッチしてしまい、子どもを叱り飛ばすことが多いのですが、そうではなく息子さんとの会話を試みたのですね。とても困難だったと思います。それまで忙しくて子どもと接する機会も限られていたのでしょう。子どもが大声を上げたり暴力を振るえば、父親としては当然きびしく叱ろうとします。もしここで叱っていたら、息子さんはますます脅威という壁を乗り越えられなかったでしょう。

あなたも母親として努力されたことが功を奏しました。家族の危機に直面し、父親が子どもに向き合う決心ができた背後には母親の力があることにお気づきでしょうか。母親自身がカウンセリングに通い、母親としての関わり方についてよく振り返り、父親に対しても子どもの問題に向き合うように働きかけていました。その段階では夫がカウンセリングを受けることはできませんでしたが、そのような妻からの働きかけが夫の気持ちの中に残っていて、それが後に息子さんと向き合おうとするエネルギーになったのだと思います。

2014年1月23日木曜日

ひきこもり脱出講座最終回のフィードバック

ひきこもり脱出講座に参加されたみなさん(と読者のみなさん)へ

本日(1月8日)の講座、お疲れさまでした。
いつもは次の回に前回のフィードバックを行いますが、今回が最終回で次の回がないので、ブログ上でプライバシーに配慮してフィードバックします。本当はもっと早く上げたかったのですが、遅くなり済みません。
  • みなさんの貴重なお話がたくさん聞けて、今回で終了なのが残念です。主人が一度も参加できなかったことも残念で、ご夫婦でいらっしゃっている皆さんが羨ましく思います。
今回の講座はウィークデイの昼間でしたので、お仕事をお持ちの方はなかなか参加しにくかったと思います。それにも関わらず、今回ご夫婦おふたりで参加した方が多かったのはとても良かったと思います。今後の講座は、週末や夜間の開催も考えたいと思います。
  • ほかの家族の方の話を聞いて参考になることもあり、大変良かったです。今回でこの関係が終わってしまうことが少し残念です。
次回に続けてご参加ください。新しいメンバーを迎え、お話がさらに発展し、深まると思います。
  • 皆さんのお話がとても勉強になりました。もう少し回を重ねてもいいかなと思いました。やっと話が深まったところだと思います。ほかの家族の話を聞くと、自分だけで考えていたことがいかに狭かったかとよくわかりました。
  • 同じものを見るにも高さを変えたり方向を変えたることはとても大切だと考えさせられました。
普段とは異なる視点を持つことはとても重要です。
通常、家族はいつもの変わらぬメンバーで長い年月を過ごしていますので、ものの見方や考え方はひとつの方向に固定されてしまいます。親子関係や夫婦関係も、ひとつのパターンに固定してしまいますね。家族の力でひきこもりを解決するためには、今までとは異なる家族の関わり方・パターンをどう見出すかということが大切になります。
  • 参加者の質問や意見に対して、先生が明快に答えるのではなく、口ごもり、ためらいながら答えていたことが印象に残っています。それが「届く言葉」になっていくのだと思いました。
いえ、別にわざと口ごもっていたわけではありません(笑)。
でも、明快には答えられないんですよ。
「子どものことをどう理解したらよいのだろうか、どう対応したらよいのだろうか、、、」
といったみなさんからのご質問は、「これが正解」という答えがありません。各家庭の事情によって千差万別なので、どの場合にも通用するような「正解」がありません。みなさん、どうしたらよいのかわからなくなり、戸惑っていらっしゃいますよね。それにお答えする私もどうしたらよいのかわからなくなり戸惑います。私が今まで経験してきたご家族のお話や知識を総動員して、その都度考えています。だから口ごもってしまいます。それがかえって「届く言葉」として受け止めていただけることはうれしいです。
  • 知らず知らずに親の価値観を押し付けていたであろうと、息子がこうなってからずっと考えていました。
  • 親の価値観をこれから変えてゆかなくてはならないかもしれません。とても大変だと思います。まるべく価値観を押し付けないようにして、息子の価値観を認めていきたいと思います。
今日は「親の価値」という話がたくさん出ましたね。とても大切な部分です。ひきこもる人は自分の価値(自分はこうすれば良いのだという指針、自信、希望)を見失っています。

親が子どもにどう価値を伝えるかということがとても大切になります。うまく伝えると、子どもは自分の価値を取り戻すことができます。下手に伝えると(あるいは伝えることを止めてしまうと)子どもは価値を見失ったままです。
「価値」は自分一人の単体では生まれません。別の価値を参照して自分に取り込もうと試行錯誤する中で、自分自身の価値が生まれます。
子どもが成長し、自分自身の価値を創っていくために、家族やまわりの人々の価値との相互作用が必要です。
例えば、社会の中で自立して生きていくためには、「私はこういう道を進みたい。勉強という価値が重要だ。良い学校を目指したい。良い職業を目指したい、、、」という価値が大切です。
子どもは家族や社会からの承認を得て自信を獲得するために、まわりからの期待に応えようとします。それを達成することによって自信を獲得し、また逆に達成できずに自信を喪失したり繰り返しながら自分の身の丈に合った価値を作っていきます。ちょうどよいサイズの価値を創るためには成功体験(喜び)と友に失敗体験(痛み)が必要です。

子どもは成長していく中で、自分の価値を人(社会)との交わりの中で試しながら修正していきます。親も同様に親から子どもに伝えるべき価値を常に見直します。子どもに期待し、子どもの能力や性質を見極め、高すぎないか、低すぎないかを調整します。

ある程度は親の価値を子どもに押し付けることは必要です。親の価値を子どもに提示して、無理かなと思っても、すぐに撤回してはいけません。ある程度は押し付けたままにして、子どもが乗り越えるかどうか見極めます。もしかしたら想像以上にがんばって親を乗り越えるかもしれません。あるいは、ダメかもしれません。走り高跳びのようなものです。1回目、2回目に失敗しても3回目に成功するかもしれません。3回失敗したらハードルの高さを下げなくてはなりません。

以前、子どもにかけた期待が成就できず、うまくいかなかったために、もう期待することを諦め撤退してしまう親がいますが、それではダメです。親は子どもに期待し続けなければなりません。それが高すぎても低すぎてもいけません。自分にとって大切な他者(=親)が見守るからこそ、子どもはがんばることができます。

親自身は自分の価値に固執してはいけません。親が子どもに伝える価値を子どもの状況に合わせて柔軟に調整するためには、親自身が他の価値を知り、試行錯誤することが大切です。親も、自分の親から伝えられ内在化した価値を心の中で参照しているはずです。夫婦のあいだでその価値を参照し合うことができると、より柔軟な価値を生み出すことができます。ひとりよがりにならず、適切な価値を伝えるためには対話が必要です。子どもと対話し、夫婦やまわりの人との対話が新たな視点を生み出します。この講座やカウンセリングも、対話を生み出す機会を提供します。
  • 価値観を変えることの難しさ(特に父親)はどこも同じだと思いました。確かに、それぞれの家庭に引き継がれた価値観に縛られ、子どもが苦しいとひきこもってしまったのだと思います。100%でなくても、努力して変えられる範囲で変えたいと思います。
父親の関わり方、母親の関わり方についてもお話がたくさん出ましたね。
確かに、父親にとって難しいことです。
多くの家庭は父親が家族の価値を作り、母親がそれを支えていきます。最近ではその逆のパターンや、価値を作らない父親も増えてきましたが。多くの男性は、「しっかりしなさい。(しっかり価値を作りなさい)。ぐらついてはいけません!」と教えられてきました。女性はまわりに合わせるために柔軟で、男性は価値を作るために堅牢であるべきと教えられてきました(少なくとも私の感覚では)。ひきこもりは家族の価値を見直す良いチャンスです。母親は割と柔軟に対応しますが、父親はなかなか不器用です。理屈ではわかっていても、長年しみついた「ぐらつくな!」という癖が抜けきれません。
  • 夫が自分から子どもの就労支援の施設を見学に行こうと言い出しました。これまで夫は自分から動こうとせず、初めてで驚きました。これも田村先生の講座に通ったお蔭と感謝しています。
それはとても良かったです。ご主人は講座で多くは語りませんでしたが、講座を通してきっと多くのことを考えたのですね。その中で今までとは異なる新たな視点を獲得されたのでしょう。

親の力、特に父親の力は大きいものです。家族が無意識に設定した価値を変えることができたら、子どもはどんなに気持ちが楽になるでしょう。
子どもはその価値を成就し自分の価値として取り込み、引き継ぎたいと願います。それが思春期の自信獲得につながります。日本の中流家庭において、「良い学校」や「良い職業」に就くことはとても重要な価値です。しかし、それはあまりに重要で、あまりに自明のために、家族の中で案外語られないのではないでしょうか。家族カウンセリングの中でも学歴の話は私の方から振らないと、なかなか語られません。特に、立派な価値(学歴や職業)をお持ちの家庭では、それを成就することが大変です。うまくいけばよいのですが、うまくいかないとそのことが自信を獲得する大きな障害となります。
語ってしまった方がむしろ楽で、語られない暗黙の価値が子どもを苦しめます。それを成就しないうちは親から認められない、自分の価値を見いだせないと悩みますが、そのことを子ども側から言語化できません。
そのようなときは、あえて親が家族の価値を明らかにして子どもに伝えてあげましょう。
「お父さん自身は、こういう家庭に育ち、こういう価値を成就してきたんだよ。」
「あえて言わなかったけど、君が子どものころ、お父さんはこういう価値を伝えたかったのよ。そのことはあえて口に出さなかったけど。」
「今の君のことを、お父さんは真剣に考えている。講座にも参加した。そして就労支援施設にも行ってきたんだ。なかなか良かったよ。君にはこういう道が残されている。それは負け犬なんかではない。お父さんも承認できる、立派な道だよ!」
そのように伝えてあげて下さい。そうすれば、子どもは親によって認められた道を見出すことができます。
  • 価値観を変えるのは難しいけれど、別の価値観があることを知り、認めることはできると思う。私は夫の価値観と違うことを今では認めることができるようになりました。自分とは違う価値観を全部否定するのでもなく、受け入れるのでもない。自分なりに少し自信が持てるようになりました。でもそれは息子の状態に影響されますが。
それはとても良かったです。
ご両親の異なる二つの価値があることが良いことです。それらを相互に対比させ、認めるべき部分は認め、認められない部分は排除して、新しい、身の丈にあった価値を作ることができます。ご夫婦でお互いの異なる価値を全面否定もせず、全面肯定もせず、「あーだこーだ」とよく話し合ってみてください。
講座でもみなさん各家庭の「価値」を紹介し合いましたね。私からは取り立ててそういう流れを作ろうという意図はありませんでしたが、終わってから振り返ってみればそういうことだったんですよ。私の専門家としての「価値」もいくらかみなさんにお伝えしましたが、あまり前面には出しませんでした。私の立場をあまり出しすぎると、みなさんが相互に出し合えなくなってしまいますので、私はむしろみなさんの価値をお互いに引き出す役をとりました。

自分の価値、つまり自信とかやる気とか希望とかを生み出すためには他者性が重要です。
我々は家族や職場や友人や、社会の中で常にいろいろな他者と接していますので、その重要性に気づきません。
家にひきこもり、他者との交流がなくなると、この「他者性」を失ってしまいます。
そうすると、自分の価値を生み出せなくなります。禅僧のようにじっとひとりで瞑想していても、新たな価値は生まれません。本でもネットでも人でも構いません。自分が参照できる何らかの情報がなければ、人は成長しません。ひきこもっている人は、他者性の資源を家族に頼らざるを得ません。本やネットでも良いのですが、それらは単に情報のみで「人」が介在しません。自分によって大切な人によって語られる情報が、本当の意味で参照できる生きた情報です。

学校や会社や友人や、周りの人の中で生活していれば、親がそれほど関与する必要もなく、人は変化していきます。しかし、ひきこもりの場合には、本人が接することができる限られた人(=家族)が如何にうまい具合に「他者性」を伝えられるかということがとても重要になります。

私もみなさんがいるから、これを読んでくれるだろうと期待するから、こうやって文章を書くことができます。誰も読まなかったら書くはずありませんもの。(日記は後で読み返す自分という他者がいますね)。
このブログに書いているネタも本にしようと今がんばっています。
私が数年前重要な他者を失い、その痛みをさまざまな形で他者と関わることによって癒してきました。
他者によって傷つけられると、とても痛みます。それにもう懲りてしまったのがひきこもりです。
他者によって受け止められると、大きな喜びになります。それを原動力にして我々は日々を生きているんですよね。
良い意味で他者がいることって、とても大切だと思います。
ひきこもりなどの問題を抱えた親ができることも、この一言に尽きると思います。
  • 「また父親だけで集まりましょう」というのは、「カウンセリングの場ではなく集まる」というつもりでしたが、それだとただの飲み会になりそうで(それも良いのかも知れませんが)。先生がそういう場をお考えというのはとても興味があります。
  • 次の機会をいただければ、また参加したいです。
次の講座は4月以降に予定しています。
それとは別に、新たな講座として
「ひきこもり脱出講座:特に父親の関わりについて」
というような具合に、父親に焦点を当てた講座を作ろうかなと考えています。参加できるのは父親・母親どちらでも結構です。まあ、これも現時点で考えていることで、また変わるかもしれません。決まりましたらウェブサイトにお知らせします。
  • 質問)講座に出たことを息子に言おうと思いますが、主人が反対したらどうしたらいいでしょうか?もっと仕事のことや人と会う会などのことを息子と話し合いたいが(今までもしてきたが)主人は「あまり余計なことを言うな」と言うので難しいです。どうしたらいいでしょうか?男性だけの会など、またグループや個人カウンセリングいずれかをやりたいが、主人はここで終わりにしたいと言っていたので。
講座や仕事のことを息子さんと話し合うことも、今後もグループや個人のカウンセリングを続けることも、とても良いことだと思います。しかし、ご主人の意見がとてもネックになっているようですね。息子さんにどう関わるかということを考えるためにも、まずご主人ともう少し話を深めてはいかがでしょうか。今回あなたはご主人とともにとても熱心に参加されたと思います。ご両親ともそれぞれお子さんのことをとても心配して真剣に考えていらっしゃいますね。それはとても良いことです。

 なぜご主人は「息子に余計なことを言うな」とおっしゃるのでしょうか?なぜもうカウンセリングはもう終わりにしたいとおっしゃるのでしょうか?そこを奥さんからご主人によく尋ね、ご夫婦で話し合ってみてください。ご主人はご主人なりにいろいろ考えていらっしゃいます。多分、ご主人はまだ語り切れていない隠された不安や怒りなど、あまり触れたくないお気持ちを抱えていらっしゃるように思います。

2014年1月8日水曜日

プライドのリセットと親の価値観

Q 息子のことでご相談させてください。2年前に進学校をぎりぎりの成績で卒業し、1浪目は予備校に通いながら受験勉強をしていました。2浪目の秋からもう間に合わない、このままだったら落ちてしまう、だったら受験しないほうがよいと言い出し、部屋にこもるようになりました。 本人は国立大学の医学部に行きたいと思っており、それがダメなら生きている意味がないと言います。学歴主義の世界で生きていた自分はもう取り返しがつかない。無からはどんなに頑張っても有にはならないと。 親から見ると、息子は完全に自分の人生をあきらめたように見えます。勉強はいっさいせず、時々「俺はどうなるんだ」、「どうなってもいいや、もう捨てた」と言います。毎日、部屋の中にいて、ほとんど出てこなくなりました。親として、どのような対応をすればよいのでしょうか。


 A 息子さんは中学までは進学校に行かれるほど成績が良かったのですね。その中で自分は成績優秀であるという高いプライド(自我像)を身につけられたのだと思います。しかし高校では思うように成績が伸びず自分が大切にしてきたプライドに叶う進路を見出すことができません。息子さんにとっての「生きる意味」とは彼のプライドに叶う進路、つまり国立大医学部に進むことなのでしょう。それが叶わなければ生きる意味を見失い、自分を捨てるしかなくなります。
 息子さんは自分のプライドをリセットすることが必要です。自分に課した期待どおりの100%の自分を諦め、60%70%の修正された自分を受け入れなければいけません。それは、本人自身が傷つき、悩み、葛藤した末に得られることです。そのプロセスに親は直接関与することができません。
 一度築いた価値観を崩し、別の価値観を獲得することはとても困難です。親ができることは、親自身の価値観を点検してみることです。価値観は家族同士相互に関連します。口に出して言わなくても、親の価値観は子どもの価値観に伝わります。親が価値観を見直すことができれば、子どもも自分の価値観に対して自由になることができます。

私自身の例をご紹介しましょう。
私には3人の子どもがいます。末の次男は中学3年生でこれから高校受験を迎えます。彼の両親も兄も姉も、公立の進学校に進学しています。彼も同様に希望していますが、成績が不十分です。成績表はオール3のレベルです。それまであまり勉強しなかった彼も2学期にはがんばりオール4に近いレベルまで成績が伸びました。私はそれをほめるのですが息子はあまり喜びません。今の段階で自分にOKを出してしまうと、後にその期待が裏切られた時に傷つくことを知っているのでしょう。
 学校の先生や友人に相談しても、何の問題もない、今のままで良いじゃないかと言います。私ももし自分の子どもでなければ何も問題とは思わないでしょう。しかし、自分の子どものこととなると心配が尽きません。息子の将来は大丈夫なのだろうか?幸せになれるのだろうか?
 幸せになれないかもしれないと心配するのは子どもを信じていないということです。親のエゴに過ぎません。
 こうやって自分の価値観を点検してみると、自分が如何に学力(頭の良さ)というひとつの指標に縛られてきたかということがよくわかります。世の中にはさまざまな価値があります。サッカーがうまかったり(運動能力)、背が高かったり(身体能力)、イケメンで女の子にもてたり(美しさ)、ピアノや絵画が上手だったり(芸術的才能)、、、、いくらでも自己を承認の指標はあるのに、それらを使わず学力のみに頼ってきました。
 私は親のようになりたいと思ってきました。いえ、当時はそんなことは思いませんが、今から若い頃を振り返れば無意識にそう思っていたに違いありません。親の価値観に叶う人間になり、親からの承認を得たかったのだと思います。自分の命を作った張本人である親から認められることで、自分が存在する価値が出てきます。
 学歴なんて生きる上で全然すべてではないはずです。偏差値が高くなくても、家族の期待に応えられなくても、人は十分に幸せになるチャンスはあります。それはあまりにも自明のことなのに、自分自身の子どものことになると思考が停止してしまいます。どうやって次男を承認したらよいのだろう。どうやったら次男は親からの承認感を得ることができるのだろう。
 私の両親も、私自身も妻も、上の子どもふたりも、みな学力という資質を頼りに自尊心を作ってきました。次男がそれに見合う資質を持ち合わせていないとしたら、彼はどうやって生きる自信を獲得していくのでしょう。自分自身も家族を見渡しても、学力以外の価値を糧に自信を得てきた人を知りません。クライエントなど家族以外の人ではたくさんいるのに、そういう人々には目が向かないのです。
 今、次男に向き合い、私は父親として何を与えたらよいのか自信がありません。このように考えること自体、親の心配し過ぎであると理屈ではわかります。親の思惑とは別に、子どもは自分で試行錯誤して価値を作っていくのでしょう。そのように信頼してあげなくてはいけません。そう思いつつも、何とか子どもが価値を見出すための環境を整えてあげたいと考えています。
 次男には無条件の承認を与えたいと願っています。根底の部分で彼を信頼したい。勉強ができなくても、暴れん坊でも、性格が悪くても、根底のところでは彼は「良いやつ」なんだ、生きる価値がある人間なんだというメッセージを送りたいのです。親にとって彼はいかにかけがえのない存在であるか。それは彼を甘やかしたり、彼の言いなりになることではありません。彼の内面の強さを信じて、彼が獲得したものや、彼の努力を評価したいのです。偏差値の高い大学に行かないかもしれない。高卒かもしれない。正社員になれないかもしれない。フリーターかもしれない。彼の人生がどんな状況であっても、私にとっての彼の価値は変わらない。幸せになってほしい。この世に生を受けたことを喜んでほしい。でも、私はそれができるか、心の底からそう思う事ができるか自信がありません。その経験がないからです。

これが私の本音です。周りから見ればごく単純なことのはずなのに、当事者の位置に座ると、客観性を失ってしまいます。