2013年11月8日金曜日

親は子どもに葛藤を乗り越える力を与える

親ができることは何ですか?

葛藤に耐える力を身に着けてあげることです。
人はふつう葛藤を避けます。

思春期に自立することは危険がいっぱいです。
仲間からいじめられるかもしれない。
裏切られるかもしれない。
無視されるかもしれない。ハブられるかもしれない。
うまくやってゆけないかもしれない。
KYと言われてしまうかもしれない。引かれてしまうかもしれない。

思春期の子どもは、前に進むことに不安を抱き、躊躇して、NOと言います。
そこで、子どものNoに、親がYesと言ってあげられるか。
いかに親がYESを伝えることができるかが、親の力を発揮する場面です。

そのためには、親子の葛藤を乗り越えなければなりません。

Aさん曰く:
父親は子どもとうまく接することができないんです。
以前、子どもに強く言ったら、反抗して大騒ぎになってしまいました。
父親も仕事で疲れています。もう子どもに関わる元気がありません。

Bさん曰く:
父親は家であまり意見を言いません。
意見があるかどうかもわかりません。
それに、父親が何か言ってケンカになったら困りますから。

Eさん曰く:
子どもが傷つかないか、いつも親がピリピリしています。
親は差しさわりのない話題しか触れられず、楽しい話題がありません。

人と向き合い、傷つくことを恐れるのは子どもばかりではありません。
親も恐れます。
子どもとの口論は怖いものです。
良くないことが起きるのではないか。
この子はあまり強くない子だから、つぶれてしまうのでは、やる気をなくしてしまうのでは、やけになってしまうのでは、、、と心配します。
相手に気を遣い、遠慮します。
自己主張して相手とぶつかることを回避します。

Cさん曰く:
口論は良くないです。お互いに傷つくだけで、何も生まれません。

いいえそれは違います。
人とのぶつかり合いを避けようとする習慣がひきこもりを生みます。

親は人とぶつかり対立して傷つけあっても大丈夫なんだという体験を子どもに伝えてください。
家族でも、友だちでも、親しく付き合うためには葛藤を経験しなければなりません。
葛藤を通り越したその先に親密性があります。
葛藤を避けていたら、本当の関係性(親密性)を得ることはできません。そこまて体験しないと、関係を深められません。

ひきこもり、家庭外で人とぶつかる機会が得られない場合は、家庭の中で感情のぶつかり合いを体験させます。
激しくぶつかってもOKなんだ、構わないんだ。ぶつかった後に修復できるんだという成功体験です。

特に父親とぶつかる体験が大切です。
多くの家庭では、母親がウチの番人、父親がソトの世界の番人です。
父親との対立を経験し、傷つき、回復する成功体験を得ると、ぐっとソトの世界に出やすくなります。
父親とぶつかっても大丈夫なんだという自信です。

Dさん曰く:
でも先生、子どもとぶつかると、ひきこもってしまい、全く口をきかず、関係が途絶えてしまいます。
今ようやく落ち着いて、日常会話ができるようになってきたので、この雰囲気を壊したくありません。

その不安はよくわかります。
人は親密な他者から拒絶される痛みに耐えられません。
子ども、は親から拒絶されることを恐れます。
親は、子どもから拒絶されることを恐れます。

それではダメです。
恐れていてはダメです。
拒絶されようとも、子どもが大声を出そうとも、親は子どもに関わり続けなければなりません。
それができるのは親だけです。

親の力を子どもに与えてください。

しかし、それは難しいものです。
まず、親がご自身のこれまでの体験を振り返ってください。
相手とぶつかり傷つき、乗り越えられなかった失敗体験(トラウマ)が残っていると、そんなこと怖くてできません。
相手とぶつかり傷つき、乗り越えて親密性を獲得した成功体験があると、難なく自然に実行できます。

Fさん曰く:
息子は自分がひきこもりだと思っていません。
本人の性格を考えると、親が相談に来ていることを話せる状況ではありません。

それではダメです。
まず、親はそう考える前提を崩しましょう。

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