2013年2月1日金曜日

親の不安のスパイラル

息子は高校を中退してからひきこもりました。数年後ようやく予備校に通い始め、ようやく大学に入学。前期の授業の単位は落とさなかったけど、後期から大学に行かなくなり、必修単位をおとしそうだから留年すると言い出しました。
きっと大丈夫だと息子を信じたいですが、またこのまま家にこもってしまうのだろうかと不安にかられます。もう大人の年齢で彼の人生なのだからと割り切ろうと思いますが難しいです。
今、私にできることはなんだろうか、ただそっと見守ることだろうか、自分自身がカウンセリング等を受けることなのだろうかといろいろ迷います。

⇒このような時に、思い切って、第三者に相談するのは賢明な選択肢です。
 大人の年齢の息子さんを信じることは大切ですね。でも、そう理屈では分かっていても、親としてどうしても不安に駆られてしまいます。今のあなたにできることはたくさんあります。息子さんに対してはそっと見守るだけで結構です。むしろ、あなた自身が親として揺れ動く気持ちを整理することがあなた自身ばかりでなく、息子さんにとっても良い影響を与えます。
こういう時、どう考えたらよいのか、どう対応したら良いのか。しっかりとした指針が必要です。自分の頭の中だけで考えをグルグル巡らせると自己撞着のスパイラルとなりマイナスの方向に沈んでしまいます。誰かに相談したらよいでしょう。

夫は忙しく、あまり相談できません。
私が孤独に陥り、かえって悪い結果を生む言動をしそうで、結局なにもできずにいます。息子には「あなたが生きているだけで幸せだ」といつも伝えてきました。でも私のこの気持ちが彼には重荷なのだろうと思います。私から自立するために頑張ってもうまくいかず、多分私も邪魔をしてる。私が無言であってすら彼には負担なのかなと思います。
私は過干渉だと自分でも思いますが、このままま大学を休んだり辞めてこもってしまうのではと不安です。
「大学は大丈夫なの?」
「来週からはまた大学にいくの?」
そんな簡単なことを聞けない雰囲気で、食事のことなどポツポツとふつうの会話だけを少ししています。
1日中家の自室でゲームをそいていて、ごくたまに部屋から出てきた息子とちょこちょこっと話をする、そんな暮らしを続けていていつか何かに本人が気付いて出ていったり働いたりしはじめるものなんでしょうか。息子の人生だから親はなんにも干渉できないものなんでしょうか。

いいえ。親としてできることがたくさんあります。
子どもの様子を詳細に観察し、こうしなさい、ああしなさいと手とり足とり関わることはできません。できることは安心感を与えることです。「生きているだけで幸せ」というメッセージは、家にとどまる安心感を与えますが、自立する安心感は与えられません。息子さんに、「あなたはもう自立しても大丈夫、外に出て傷ついても、失敗しても大丈夫、あなたなら立ち直れるはず」という安心感を与えましょう。
安心感や不安感は言葉では伝わりません。親の気持ちは何もしゃべらなくても子どもに伝わります。あなたの子どもへの眼差しは不安に満ちていますね。またひきこもってしまわないかという不安、親が何かを言っても、あるいは逆に何も言わなくても良くないのではという不安。何をしても何をしなくても不安です。子どもに安心を与えよう、元気を与えようと頭で考えていても、あなた自身がこのように不安に埋め尽くされていたら、それが子どもに伝わります。大切なことは、子どもに何を伝えるか、何を伝えないかということではなく、それ以前に親自身の不安を解放し、安心と自信を得ることです。

息子はお父さんは立派だけれど、あんなには働きたくないと言います。夫は激務でいかにも大変そうです。夫は「大学に何をしに行くのか、目的や目標がなければ行く価値がない」と言います。今もしこういう話を息子にすれば大学は辞めるよと言い出しかねません。夫の話は8割は正論であっても親の心に欠けると思います。きっと一緒にいる時間があまりにも短いからでしょう。

はて?
息子さんは本当に「大学を辞める」と言い出すでしょうか?
なぜ、あなたはそう想像するのでしょうか?
それは、あなたの気持ちが不安でいっぱいだからです。不安なときは、プラスの結果は予想せず、必ずマイナスの予想に傾きます。「あなたが生きているだけで良い」という気持ちも、「目的がなければ大学に行く価値がない(つまり、目的を見出しなさい)」という気持ちも、種類は異なりますが、どちらも大切な親の心です。
あなたの気持ちがもう少し安心と自信の方向に傾けば、ご主人の「正論」を息子さんが理解して、目的を探すようになると予想できますね。

私はこれまで自分のしてきたことがすべて失敗だったように感じているので、なにを言うのもするのも怖いです。わたしは子育て全般の自分の至らなさを悔いています。でも息子はわたしに優しくて遠慮もしています。悪いのは私なのになぁと不憫に思います。私は家事をしてただ家にいるだけでよかったのにバカだったと悔やんでいます。
とても不安になって相談のメールを送らせてもらいました。ある意味で夫は仕事に逃げ、私は過去の経験から保身に逃げ、本人は外の世界から逃げて、とてもダメな家庭になっています。こうしてご相談をしたり悩んだりしつつも私は本当に息子のことを考えてやれているのだろうか。今後のことを前向きに考えるような気持ちをこめています。

あなたがこうやって相談されて、とても良かったと思います。
どうでしょう、ここまで自分の気持ちを表現されて、今はどんな気持ちですか?
心がとても疲れ、ご主人のことも、自分自身のことも、子どものことも、すべてマイナス思考の悪循環に陥ってしまっていますね。
でも、よくこうやって表現されたと思います。それはとても勇気ある行為です。
マイナス思考をどうにかしてプラス思考に切り替えたいと願いますね。そのためには、まず自分のマイナス思考に徹底して向き合います。あなたは、こうやって相談という形で自分自身の気持ちと正直に向き合っています。多分これだけでは足りず、もう少し深めることが必要でしょう。でも、ご自身のマイナスの部分をしっかり受け止め、出し切った後には、パンドラの箱のように最後にプラス思考が出てきます。自分と向き合う痛みを経験したことが自信につながり、今までの不安のスパイラルから決別できます。そうすれば、夫婦がお互いに向き合う痛みや、子どもにちゃんと向き合う痛みにも耐え、そうやって耐え抜いた自信を子どもに伝えることができます。

一番初めのご質問に戻りましょう。
今、私にできることはなんでしょうか?
ただそっと見守ることでしょうか?
→いいえ違います。

自分自身がカウンセリングを受けることでしょうか?
→それはひとつの良い方法でしょう。大切なことは、子どもの問題を良い契機として、ご自身の不安や過去の体験から逃げずにしっかり向き合うことです。ひとりで考えていても始まりません。お友達やカウンセラーなど誰かに支えてもらい、自分を語ってみましょう。自分の不安と向き合うことができれば、夫婦の間の不安や、子どもへの不安にも向き合い、少しずつ自信を持つことができるようになります。そうやって醸成した安心感を、今戸惑っている息子さんにしっかりと伝えてあげてください。

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