2012年11月11日日曜日

話は聴くけど何も言ってくれないカウンセラー

私のところに相談にいらっしゃる前に、別のところで相談された様子を伺うと、
「カウンセラーの方はよく話を聴いてくれたのですけど、何もアドバイスしてくれないので、、、」
とおっしゃる方がよくいます。
これには3つの場合が考えられます。

1)来談者中心療法という技法は、クライエントの話をよく聴くことに徹します。上手なカウンセラーが話を良く聴いてくれると、何もアドバイスしなくても、何かわからないがとても気持ちが楽になった、どうすれば良いのか目から鱗が落ちたと感じます。
しかし、単に話を聴いているだけでも、実は裏技があります。カウンセラーにすれば裏技でもなんでもないまっとうなことをマジメにやっているだけなのですが、クライエントにはそれがよく見えないので「裏技」にしておきましょう。「ただ話を聴くだけ」のことが大きな威力を発揮します。
 この点、私はかなりアドバイスをします。来談者中心療法の考え方も取り入れますが、それプラスアルファの理論・技法を用います。

2)単に下手なカウンセラーの場合、ホントにただ聞いているだけです。来談者中心療法という技法は一見取っ付きやすいので多くの人々が使っています。不十分な理解のまま「裏技」を習得していないカウンセラーに聞いてもらっても、気持ちは楽にならず、目から鱗も落ちません。

以上はカウンセラーの技量の問題ですが、クライエントの技量の問題もあります。

3)クライエントのガードが固く、厚い鎧を着込んでいる場合です。「ホントに困ってます。どうにかしてください」と願いつつ、本音の弱い部分をしっかりガードして厚い鎧で守ります。そうなると、いくら上手なカウンセラーでも太刀打ちできません。クライエントは自分が鎧を着込んでいるなんて気づいていませんから、「このカウンセラーは下手だ」と認識してしまいます。
 もっとも、人はだれでも多かれ少なかれ鎧を身につけています。それを優しく開くよう促すのがカウンセラーの技量であり、勇気を出して鎧を開け放してみるのがクライエントの技量です。両者の技量がうまく重なると、カウンセリングの効果が最大に発揮されます。
 そう考えると、カウンセリングを受けるって難しいことなのでしょうかね。
確かに、症状を伝え、お薬をもらうだけの医療に比べれば難しいのかもしれません。クライエント側のがんばりが求められます。

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