2012年11月7日水曜日

若者の「もやもや」


インタビュアー:若ナビ」では、18歳以上の若者を対象として、人間関係の悩みや漠然とした不安などのもやもやした気持ちを抱える方々からの相談をお受けしていますが、若者の「もやもや」した気持ちっていったいどんなものでしょうか。

田村:若者の「もやもや」には2種類あります。ひとつは、『よくわからない状態』で、何に困っているのか自分でもわからない。さらに言えば、自分がわからない、生きる意味がわからない。自分の存在が不確定で自信を持てず、これでよいのだろうかと戸惑い不安を抱くという状態です。もうひとつは、『表現できない状態』で、つらさや弱みを出したいけど、どう出したらよいかがわからない。誰かに話したいけど、話せる人やわかってくれる人がいない。恥ずかしくて話したくない、でも話さずにはいられない。どう話していいかわからない。話すべきではないと思う。自分のプライドにかかわる。いったん話すと自分が壊れてしまいそうで怖い。そういった状態です。

なるほど、若者のもやもやには『よくわからない状態』と『表現できない状態』の2種類があるんですね。その背景にはどのようなことがあるのでしょうか。

 『よくわからない状態』の背景のひとつには、「肯定的に自己を評価できない」ことがあります。生活していく中で次から次へ遭遇する大小様々な困難に立ち向かうためには、自分はそれを乗り越えるだけの力を持っているはずだという肯定的な見通しが必要です。それが不十分で自分をうまく肯定できないと、「何をやってもダメ」「何に対しても自信が持てない」という思いが強くなり、毎日の生活のすべてのことに対して前に進めなくなってしまうのです。

また、『表現できない状態』の背景のひとつには、若者のコミュニケーション能力があります。他者と折り合うためには相手にメッセージを届ける能力と相手のメッセージを受け取る能力が必要ですが、そのコミュニケーションにも自信がもてないのですね。自分を主張したら、相手が自分のことを否定的に捉えるのではないかと心配し、自分の気持ちを伝えることをあきらめてしまう。そして、相手に合わせようとするが、まわりが自分を裏切るのではないか、見捨てられるのではないかと心配します。その結果、自分と相手のメッセージの折り合いがつかず、自分が受け入れられないと感じてしまいます。

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