2012年10月13日土曜日

自分のココロを知る


先日、受験を控えた高校3年に講演しました。その要旨です。

みなさん、こんにちは。
今、10月だからもうすぐですね。
  • 今、どんな気持ちですか? プレッシャーを感じる?

感じますよね。
受験はなぜプレッシャーに感じるのでしょう?まずそのことから考えてみましょう。

心の法則その1「新しいことが近づくと、期待とともに不安が大きくなる。

私がみんなと同じ高校3年生のころ、はるか昔のことだけど、こんな気持ちだったかな。(崖の前に立ち尽くす人の写真)
険しく、とてつもない高い壁の前に立ち尽くし、一生懸命よじ登ろうとしてました。
でも、ぜんぜんわからなかったですよ。
ホントに登れるのかどうか。登れないんじゃないかと不安になるし、でもそんなこと言ってられない、登るっきゃないと思ったからゴシゴシ登っていたんですけど。でも、登った先に何があるのか、なぜ登らなくちゃいけないのか、ぜんぜんわからなかった。
つまり、自分の進路とか、生きがいとか、生きる目的とか、自分ってなに、とか一生懸命考えて、本なんかも読んだりしてた。
それに、友人関係や部活や、いろんなことも特に激しく悩んでいたわけじゃないけど、何となくぼんやり、悩んでいて、自分がどうしたらいいかなんてよくわからなかったですよ。

  • 受験はなぜプレッシャーになるのでしょうか?
合格か、不合格か、有無を言わさず判定されます。
「合格」なら、「おまえはグー(good)だ!」と社会から判断され、自信を獲得できます。
「不合格」なら、「お前はダメ(no good)だ!」と社会から言われるわけですから、自信を失います。
このどちらかを言い渡されるというのは、相当なプレッシャーですよね。
さて、みなさんに尋ねます。
  • みんなは自分に自信がありますか?
  • みんなは不安な気持ちがありますか?
自信あるなんて、なかなか言えないよね。
不安はきっとみんな持ってるけど、それもはっきりみんなの前では言えないよね。

自信とは、根拠のない肯定的な未来予想図です。
不安とは、根拠のない否定的な未来予想図です。
そりゃあ、模試でA判定とか、B判定とか、予想するための数値的な根拠を得ることはできます。
でも、だれも未来のことは予言できません。そういう意味で、すべてに根拠なんかないんですよ。

イチローは言いました。
いま自分にできること。頑張ればできそうなこと。そういうことを積み重ねていかないと、遠くの大きな目標は近づいてこない。
  • 努力すれば、必ず夢は叶うものでしょうか?
いいえ、そんなことありません。
  • それでは逆に、努力すれば必ず夢は破れるものでしょうか?
そんなこともありませんね。
正解は、夢は必ず破れるし、必ず叶うものです。
そのどちらかしかありません。

でも、夢が破れると傷つきますね。
傷つきたくない。そう考えれば、はじめから夢を持つことを諦めてしまいます。安全策ですね。
でも、夢がなければ、それが破れることはないかわりに、叶うこともありません。
  • では、どうすれば自信がつくのでしょう? どうすれば不安を乗り越えられるのでしょうか?
ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授が言いました。
  • お前は「やまなか」ではなく、「じゃまなか」や!
医者になって臨床医(整形外科医)を目指したけど、手術が下手なので挫折して、臨床医をあきらめ、基礎研究の道に進みました。
  • 野球は3割打つと大打者。でも研究は1割バッターで大成功だと思う。1回の成功は9回失敗しないとやってこない。
彼の成功の背後にはたくさんの失敗と挫折があるんです。逆に言えば、たくさん傷つき、失敗したからこそ、最後に成功を得ることができたのです。

だから、たくさん失敗して良いんです。
たくさん傷ついて良いんです。
傷つくことは怖くありません。
人は、傷ついて成長します。
挫折は成長の糧になります。
傷つくことは、子どもから大人へ、大きく成長するチャンスなのです。

ここで、子どもと大人の違いについて説明しましょう。
子どもが傷ついても自分で処理できません。まわりの保護者が守ってくれます。 
大人が傷ついたら、自分の力で乗り越えます。もし自分ひとりで難しかったら、自分の方からまわりの支援を求めます。そうやって、保護者の力で守ってもらうのではなく、自分の責任で傷つきを乗り越えられたら、大人へと大きく成長できます。
  • ホントの強さって何でしょう?
みなさん、そんなことを考えたことありますか? 
たとえば、 
力が強い人? 
頭が良い人。能力が高い人? 
めげずにがんばる人? 
弱音を吐かない人? 
失敗を繰り返さない人? 
自己中じゃなくて、人に優しく思いやれる人? 

どれが正解とか、不正解ということではありません。 

「強さ」とは漠然とした抽象度の高い概念ですから、人それぞれの定義があって構いません。
  • あなたは「強い人」ですか?手を挙げてみてください。
  • あなたは「弱い人」ですか?手を挙げてみてください。
「強い人」に手を挙げた人はほとんどいませんね。まあ、良いでしょう。
「弱い人」に手を挙げた人はたくさんいました。この人たちは、実は「強い」んですよ。このパラドックスわかりますか?
何故かというと、自分が「弱い」ことを認め、意思表示できたからです。その行為自体は「強い」ことじゃないですか!

100%、強い人なんていません。
100%、弱い人もいません。
人はみな、強い部分と弱い部分の両方を持っています。

本当の強さとは、、、私はこう考えます。
自分の弱さ(不安・恐怖・心配)から目を背けず、向き合えることです。

人の本性は弱いんですよ。だから、弱さをカバーするために鎧を着て強いように見せかけます。
鎧とはさまざまの力のことです。体力、精神力、知的能力、経済力、生活力、努力、、、、
お金や地位、資格、教育などもその一部ですね。
みんなは高等教育という鎧を獲得しようと、今一生懸命なのです。
そうやって、みんな強いふりをしています。
でも、心のどこかで、ホントは自分は弱いのだということを常に心に留めておきます。

さて、ここからが重要な部分です。
今まで、失敗や傷つくことを恐れず、成長の糧にしようという話をしました。
でも、傷つくことって相当痛いです。辛いです。傷つきたくありません。
  • 実際に傷ついたり落ち込んだ時、どうしたら立ち直れるのでしょうか?
子どもなら何もしなくても構いません。まわりの人がカバーしてくれますから。
  • しかし、大人へ成長するために、自分の力でリカバーするためにはどうしたらよいのでしょうか?
まず、良くない例。
ひとりだけで悩んでいたら、悪循環のスパイラルとなり、どんどん落ちていきます。

私がお勧めの方法は、表現してみることです。
失敗体験や傷つき体験って、心の中に溜まったゴミみたいなものです。
否定的な記憶は心のごみ箱に放り投げて蓋をしておきます。
それほどたくさんゴミがなければ、ゴミ箱にずっと入れたままで人生を終えることもできます。
でもある程度ゴミが溜まってくると、ごみを捨てに行かねばなりません。
  • どうやって捨てるんですか?
いくつか方法があるけど、「表現してみる」という方法について説明しましょう。
心の中の秘め事を、表現することによってソトに表出します。そうしても記憶が消えることはありませんが、かなり心が軽くなります。
具体的には、
声に出してみよう!語ってみよう!
友人、先輩、家族、先生、カウンセラーの先生などに。
書いてみよう!
日記もいいですし、ネット(メール、ブログ)を利用しても良いです。
ただし、安全性は自分自身で確保してね。本当に信頼できる人のみに開示すること。
プライバシーが破られると、さらに傷つきますから。特にネット関連は要注意です。それさえ配慮されれば、ネットは心の整理に結構有効ですよ。
  • 自信が持てない?
?本当の自分は恥ずかしい
?人と深く付き合えない
?自分の気持ちを伝えられない
?本当の自分を見せたら嫌われる
?誰も自分を理解してくれない
?自分のことを好きになってくれるはずない

なんて思うことありますか?
自信が持てない時、そういう風に考えたりします。
そういう時のために、「自信を見出すワークをやりましょう(詳細は省略)。これ、家に帰ったら自分でやってみてください。あるいは、友だち同士でシェアしても良いかもしれません。やってみたら、何かが変わるよ。
何が変わるかって?やる前には説明しません。実際にやってみたらわかるから。
  • 進路
私は高校の先生じゃないから具体的な進路指導はできませんが、心の問題としての進路ならアドバイスできます。

?自分は何になりたいの?
?どういう道を進めばいいの?
?どうやって自分の道を見つけるの?
?自分の生きがいって何?
?自分のやりたいことは何?

なんて疑問に思ったり考え込むことありますか?
そういう時にお勧めなのが、このワークです。(詳細は省略)
これも、やってみたらよくわかります。
それをこれから死ぬまでの〇十年かけて達成するには今、なにをしたらよいのだろう?
このように逆の発想で考えれば、今、自分がするべきことは何なのか見えてくると思います。

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