2012年6月10日日曜日

高校生からの質問


  • 患者さんとケンカすることありますか?
  • 難しい患者さんとか、悩みの種類って?
  • 心を閉ざしている人に、心を開いてもらうにはどうするんですか?
  • お医者さんの言葉で傷ついたりウジウジしている患者さんはどうするんですか?
  • 患者さんの話を聴くときどんなことに気をつけるのですか?
  • 話を聴いていて自分が影響を受けませんか?重くなっちゃいませんか?自分が落ち込んだ時は、人の話を聴けるんですか?
  • 相談を受ける人も、そういうときは誰かに相談するんですか?
  • 外国では精神科はオープンなのに、なぜ日本では違うんですか?
  • 「心を救う」ために一番大切なことはなんですか?
  • 仕事のやりがいはどういうときに感じますか?
娘の高校で「精神科医・心理カウンセラーの仕事」の話をしてきた。
20名ほどの保護者がボランティアで、高校生たちの「進路ガイダンス」の講師を引き受けた。
高校生からは、純粋で、するどい質問が返ってくるのが楽しい。
それに、専門用語を使わず、彼らにわかる言葉で答えるのは相当むずかしい。

前半、次のようなことを私から話した。
「わけがわからないけど気がついたら生まれてきた限りある命。
生きていて良かったなと思いたいじゃない!?
今の日本は物質的な豊かさはかなり達成されました。精神的な豊かさはまだまだですね。
その定義は人によって違うでしょう。みんなも良く考えてごらん!」
それを受けて、質問が返ってきた。
  • 田村さんが考える本当の精神の豊かさって何ですか?
自分で振っておいて戸惑うのもヘンですけど、難しいですねえ。
う~ん、その場ではうまく答えられず、その後も考えてみました。

えっと、それは自分の心(精神)を広げることだと思います。
それにはとりあえずふたつの方法があるかな。
ひとつは、自分の光と影、どっちも自分の一部として認め、受け入れることです。
人生やってると、イイ部分とイヤな部分がでてきますね。
ハッピーで、楽しく、うんうん満足できるな、イイよなという体験・気持ちと、
絶対イヤだ、悲しい・ムカつく、どうしようもない、考えたくもない体験・気持ちが出てきます。
ふつう、後者の部分は思い出したくもないので、立ち入り禁止にして封印します。すると、心の使える領域が狭くなっちゃうんですね。その部分に近づきそうなことは危険なので避けようとして、光の部分だけを使います。それってかなり窮屈になって、うまく使えなくなったりします。
そうではなくて、自分の影の部分も認めてあげます。別に影を消す必要はありませんよ。人間って、大切なもの・人を失うし、最後は自分も失われちゃうわけでしょ。ホントはとっても悲しく辛いものですよね。そう思えば、とってもイヤなことだって仕方がないよ、そういう自分も認めてあげるしかないな、構わないよという気持ちになれます。べつに自信を失うことはない、そういうものなんです。そうすれば、立ち入り禁止区域がなくなるから心を広く使えるんですよ。どんなイヤなことがあっても避けずに向き合うことができます。

もうひとつが、他の人にも自分の心を広げちゃうことです。
これは、ひとつ目のこととも関係あるんですよ。自分の影の部分も取り入れるってひとりだけではできません。他の人の助けが必要なんです。
身近に、自分の心をちゃんとわかってくれて、認めてくれて、受け入れてくれる人をつくるんです。親とか家族とか、親友とか、あるいは心の専門家だったり。安心できる人に自分の影も見せて、そうだよね、それもあなたで良いんじゃないって認めてもらうんです。そうすれば自分でも認めちゃっても良いのかなと思えるようになります。
自分の心をわかってくれる人って、自分の心の拡張版みたいなものですよね。

このふたつの方法で、自分の影も、身近な人も使えるようになれば、心がかなり広くなります。それが心の豊かさかなって思います。
ゴメンね、ここまでちゃんと説明できなくて。

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