2011年12月18日日曜日

グループワークの愉しさ(2)

どうもグループワークをファシリテートした後は、私の感性が活性化されるようだ。
夜中に、目が覚めて、昨日のグループワークの様々なシーンがflashbackしてきた。同じようなことは11月のMBTIワークショップの晩も起こった。グループの人々がしゃべった内容はほとんど気にしていない。しかしグループ・ダイナミックスに細心の注意を払っている。たとえば参加者Aの言葉が全体にどう影響を与え、BとCの関係性はどうで、ファシリテータはどの関係性に注目して、どう変化させようとするのか、そのためには、誰に向かってどのような働きかけ、それも言葉の内容というよりはどのような非言語を用いてどういう感覚を伝えるかというように。
このように、全体を見回し、相互作用の感覚(いわばKYの「空気」のようなもの)をキャッチして、グループダイナミクスを進めていくセンサーがいったん活性化されると、その晩までリセットされずに残ってしまうみたい。私自身、そのようなプロセスは楽しく、昨日もグループワークがうまくいった満足感があるので、このあたりがきっと私の得意分野なのだろう。

と同時に、このあたりがグループのファシリテーションの一番むずかしい部分だ。
昨日は、ひきこもりの親グループを運営(ファシリテート)する研修会。参加者は、行政・民間のひきこもり支援機関のスタッフたち12-3名。
参加者の多くは、ひきこもり本人の関わりより、親との関わりに苦労している。
さらに、親の個人面接より、親グループの集団面接(グループワーク)に苦労する。
今回、強調したポイントは次の3つにまとめられるかもしれない。

1)準備体操をしっかり。
緊張をほぐし、リラックスして言いたいことを言い合える雰囲気・信頼関係づくりが重要。これが不十分だとグループの流れがうまくいかない。そのために、まずファシリテータが十分にリラックスる。そして、緊張をほぐし、関係性を樹立するための工夫やワークなどを紹介した。

2)参加者相互の交流を促す。
当事者性と支援者性の相互互換性について強調した。
支援者(ファシリテータ)だって当事者性を持っている。そのことを十分に言語化・意識化することが大切。
と同時に、当事者(参加する親ごさんんたちとか)が隠れ持っている支援者性を発掘することで、エンパワーされる。そのための相互交流をどううまくファシリテートするか。

3)がんばりすぎない。
ロールプレイをやってみて、みなさん一生懸命がんばっている。ファシリテータががんばってたくさんしゃべるほど、参加者たちのしゃべる機会は少なくなる。ファシリテータは感覚をフルに使って全体のグループ・ダイナミクスを把握する。しかし、あまりしゃべらない。うまいタイミングで参加者たちに発言・参加をやさしく促し、結果的には、参加者のしゃべっている時間がほとんどで、ファシリテータのしゃべっていた時間はごくわずかというのが良い。理性や言葉はあまり使わず、感性と非言語をフルに活用する。

このあたりが、ファシリテーションの勘所なんですね。私も今回、研修としてのグループワークをファシリテートしてみて、そのことに気づきました。

2011年12月2日金曜日

やりがいのある面接

今日は、開院以来はじめて4コマの面接時間帯がすべて埋まった。
4人(家族)連続して面接。
とても疲れました。でもそれは心地よい疲労感。
どれも、ある意味たいへんな、問題解決の道筋は並大抵ではない方ばかり。
もし短時間の面接で、薬を処方するだけの治療なら不全感(ストレス)がかなり残ったでしょう。
これが私が本当にやりたかった心の支援のカタチです。丁寧に、じっくり向き合ってお話を十分に掘り下げてゆきます。人が生きる苦悩と幸せは、並大抵ではない。「疾患」、つまり脳代謝の異常とラベルして、薬物で治そうとしてもうまくはいきません。
日常会話では避けて通るべき、傷つきやすさの根底にある原体験に伴う深い感情(悲しみ、不安、恐怖、自責、自信喪失)に迫り、根底からエンパワーしていく。安全な環境を造り、そこまで深く迫ることはとても消耗します。でも、そこにやりがいを感じます。