2011年8月12日金曜日

もう一段深いストレス解消法=言語化

人の心は圧力鍋のようなものです。いろいろなストレスが溜まっても、ある程度の圧力までは持ちこたえ、鍋から降ろせば自然に冷めて圧も下がります。しかし、ある限度を超えると思わぬ形で爆発してしまいます。
  • 感情化⇒いわゆる「うつ」の状態です。やる気が低下し、仕事や勉強が手につかなくなります。食欲もなくなり、自信を失いマイナス思考になります。その結果、仕事や家事、勉強などが手につかず、生活に支障をきたします。
  • 身体化⇒ストレスが原因で身体にさまざまな不調が現れます。たとえば、息苦しくなり胸がドキドキしたり、腹痛・頭痛・腰痛、吐き気や胃のムカムカ、身体のしびれやほてり感、皮膚のかゆみやじんま疹、ぬけ毛などです。これらはまとめて「心身症」と呼ばれます。
  • 行動化⇒好ましくない行動が現れます。たとえば暴力、セクハラ・パワハラ、アルコール・ギャンブル・買い物・インターネットなどへの依存(つまり限度を超えても止められなくなること)などです。本人が意図してやっているわけですから責められるべきですが、その背後にはストレスが隠されていたりします。攻撃性が自分自身に向かうと自傷行為や自殺さえ起りえます。
これらは未然に防止しなければなりません。ヤバいなと本人が気づいたら、自分に合ったストレス解消を活用します。でも、ストレスの圧力が高すぎると、それだけではうまくいきません。

その時に有効なのが言語化という方法です。精神的ストレスの元となっている体験や気持ちを安全なカタチで表現します。その気持ちを突き詰めてゆくと怒り・悲しみ・不安・恐怖・自己嫌悪・自信のなさなどの否定的な気持ちが見えてきますから、あまり正面切って考えたくありません。普通はだれにも言わず、心の中で封印されています。封印されていないふつうの記憶は時と共に忘却していきますが、封印された記憶はいつまでも残り、消えることがありません。

封印を解き、表出する作業はとても大変です。日記を書くなどひとりの作業も不可能ではありませんが、できれば受け止めてくれる他者がいた方がよいでしょう。その人はちゃんとわかってくれるけど、批判したり秘密を洩らさず、その人自身がショックを受けません。信頼できる友人が良いでしょう。家族など近すぎる人は話を聞いてショックを受けます。心の専門家は、その役目を果たせるようにトレーニングされています。

封印された記憶は、自分の主観性の中に留まっています。触れてはいけない恥の部分(マイナスの部分)です。その部分が大きいと、自己を肯定することができません。
封印を解き表出しようとすれば、大きな痛みを伴います。倒れそうになったら横で受け止めてくれる人が必要です。勇気をもって表出された記憶は主観の世界から客体の世界へ解き放たれます。自分だけが隠し持っている特殊な事情ではなく、他の人でも理解できるコトバを付与された普遍的な事情に変換されます。恥(マイナス)の体験であっても、他者に受け止められる体験はすごく肯定的です。

この方法は手軽ではありませんが、本当の意味で長年溜まった精神的ストレスを深いレベルから解放できます。それを支援する心の専門家には高いレベルの技量が必要とされます

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