2011年6月21日火曜日

「準備周到派」と「臨機応変派」

ユング心理学によると、どのようにまわりの世界と接することを好むか、ふたつのタイプに分かれます。

準備周到派=「すぐに手を打ちましょう」のタイプ(判断的態度)
このタイプの人は計画や秩序に基づいて行動することを好みます。
まず判断を下し、ひとつのことに決着をつけてから、次のことに進みます。ものごとを体系立てて行い、規則正しく整理された状態を好みます。始めに決めたことちゃんとをやり遂げることに喜びを感じます。

臨機応変派=「しばらく様子を見ましょう」のタイプ(知覚的態度)
まわりの状況にあまり捕らわれず、柔軟に行動することを好みます。
計画をきちんと立てることは束縛と感じます。まわりの状況の変化に応じて、臨機応変に対処することに喜びを感じます。
このタイプの人は、仕事を最後まで引き延ばします。あれこれ思案しているだけで、あるいはほったらかしにして、なかなか仕事に着手しようとしません。結局、お尻に火がつくギリギリ最終段階になって、やっと腰を上げて一気に仕上げようとします。

このふたつのタイプはどちらが良くて、どちらが悪いという話ではありません。
どちらも良い点と悪い点があります。
準備周到派の良い点は、計画的で、きちんと締め切りを守ります。悪い点は、始めに決めたことに固執し、状況の変化に弱いことです。
臨機応変派は、状況が変わっても柔軟に対応できます。悪い点は、優柔不断で曖昧、意見や考えがころころ変わります。

他人と協力して何かをやろうとする場合、相手が違うタイプだと苦労します。
準備周到派にとって、臨機応変派の人はだらしない、決断力がない、仕事を先延ばしにして、マジメに取り組もうとしていないと感じます。
その逆に臨機応変派にとって、準備周到派の人は杓子定規で硬い、柔軟性に欠ける、キチキチしすぎていると感じます。

では、同じタイプの人同士が良いかというと、必ずしもそうではありません。
準備周到派同士だと、お互いに細かいことが気になり、計画が決まらないとイライラしてしまいます。
臨機応変派同士だと、のんびり構えすぎて、仕事が終わりません。

では、どうしたらよいのでしょう。
まず、自分はどっちのタイプなのかを知ります。何となく自分はこっちだなとわかったりしますが、いくつかの質問に答えることで自分のタイプがわかる心理検査(MBTI心理テスト)があります。手に右利きと左利きがあるように、だれしも、準備周到か臨機応変化、どちらかが得意です。その逆のタイプのようにふるまおうとすると、とてもストレスを感じます。
そのような時、自分と相手のタイプに合った振る舞いに心がければ、無理なくうまく物事を進めることができます。

私は典型的な臨機応変派と自認しています。
3月締め切りの原稿をまだ仕上げられず、編集者から鬼の催促が来ています。
明日からアメリカに出張します。アメリカの学会で、「東日本大震災の心のケア」と、「日本青年のひきこもり」というふたつの発表を行う予定です。でも、その準備をぜんぜんしていません。忙しくて時間がないわけでもありません。現に、このブログ原稿を書くヒマがあるんだったら、さっさと取り掛かれば良いものを、何となく気持ちが乗らず、ギリギリまで引き延ばしています。
この手で失敗することもあるのですが、うまくいけば、土壇場まで追い詰められた状態で、今までなかった新たなアイデアが天から降臨してきます。前の段階ではそういうことはありえません。良い言い方をすれば、降臨の時を静かに待っている具合です。
ひとりで取り組んでいる分にはそれでも良いのですが、チームで仕事をする場合は、どうしても相手に迷惑をかけてしまいます。それは、準備周到派の人だと顕著です。そういう時は、全体の見通しの計画を具体的に伝え、なるべくその枠組みを尊重するようにします。どうしても変更せざるを得ないときには、そのことを明らかにして、相手によく説明して理解を求めるようにします。(と、頭ではわかっているのですが、なかなかうまくいきません)

あなたは、どちらのタイプですか?
実は、簡単な質問に答えることにより、自分のタイプを判断することができます。

田村毅研究室では、自分のタイプを理解することから相談やセミナーを始めます。

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