2011年6月30日木曜日

やる気のエンジンの切り替え時期(=思春期)

将来の目標もなく、クラブ活動など好きなこともなく、ただ家でゲームの毎日です。試験前も勉強せず、「今の日本はクズばかりだ。将来はバイトでもしてゲームができればいい」と言います。

自分の実力をあきらめてしまい、あとちょっとという努力をしない子どもに、どうやったら本人を動かすことができますか?

勉強に努力する姿が見られず、結果も出てこないのでもっと努力するように言うと「一生懸命がんばっているんだから」と言います。やる気を出させるために親は何ができるでしょうか?

疲れてしまって眠いときが多いです。成長期(寝る子は育つ)かなと思って寝かせていましたが、大丈夫でしょうか。物事をクールに考えすぎているように思います。でも、クラスや部活の事とかはきちんと時間を守って参加していますが、もっと熱くなってほしいです。

やらなくてはいけない事は後まわしで、ダラダラ ダラダラ・・・。そのたびに「早くしろ」「やらないでどうするの?」と自分でもイヤになります。放っておけば本当にやりません。どこまで言ったらいいのか、放っといていいのかわかりません。

時間の感覚がありません。「あと5分よ」と言っても、焦るわけでもなく、超ゆっくり。結局こちらが焦りまくる毎日です。時計は読めるのに、「あと何分だからこうしよう」と時間の管理ができないのはなぜでしょう?

---------
小中学校の保護者向け講演会では、事前にどんなことをお知りになりたいか伺います。これらは、実際にあったご質問です。

さあ、どう考えたらよいのでしょうか?
私は、よく車のエンジンの比喩を使って説明します。

人ががんばって前に進むためには、やる気の原動力(エンジン)が必要です。
大人は、自分のエンジンを持っています。
幼い子どもは、自分のエンジンをまだ使えません。親のエンジンを使って、しっかり子どもを動かしてあげなければなりません。子どもはどう前に進んでよいのか、どちらの方向に進んでよいのかわからないので、親がよく見守り、ひとつひとつ丁寧に指示しなければなりません。それが親の果たすべき責任です。

思春期は、親のエンジンから、自分自身のエンジンに切り替わる時期です。車は基本的にエンジンがひとつですね。ふたつもあったら暴走してしまいます。だから、子どもがエンジンを使い始めたら、基本的に親のエンジンを止めなくてはなりません。

勉強に努力する姿が見られず、結果も出てこないのでもっと努力するように言うと「一生懸命がんばっているんだから」と言います。やる気を出させるために親は何ができるでしょうか?


そう。自分なりにはがんばっている=つまり、自分のエンジンを試し始めたのですね。
でも、新しいエンジンは調子がうまく出ません。ブスブスエンストばかり起こして止まってしまいます。さあ、困った。でも、困るのは誰でしょう?自己責任。自分で責任をとることを学ぶには、自分が困らなければなりません。親が困ってくれれば、きっと親が何とかしてくれると期待しますから(親責任)、自己責任は学べません。
では、親は何もすることがないのでしょうか?

自分の実力をあきらめてしまい、あとちょっとという努力をしない子どもに、どうやったら本人を動かすことができますか?

親が動かしちゃったらダメですよ。それは親のエンジンを貸してやることになりますから、本人のエンジンは使わなくて済みます。
エンジンを動かすガソリンは自信(自己達成感)、つまり、「努力すればきっと報われるに違いない」という肯定的な見通しです。それはそう簡単には得られません。小さな成功体験を積み重ねていくなかで、少しずつガソリンを蓄えてゆきます。

疲れてしまって眠いときが多いです。成長期(寝る子は育つ)かなと思って寝かせていましたが、大丈夫でしょうか。物事をクールに考えすぎているように思います。でも、クラスや部活の事とかはきちんと時間を守って参加していますが、もっと熱くなってほしいです。

ずいぶん熱いお母さんですね(良いことですよ)!
この時期に親ができること⇒良いところ探しです。
「クラスや部活のこと、すいぶんがんばってるのねえ。それ、とても良いと思うわ!」
親が子どもを肯定的に見てあげることで、子ども自身も自分のことを肯定できるようになります。
すべてをほめちぎって、おだてるのとはちがいますよ。
ダメなところは、はっきりダメだと指摘することも親の役目です。
でも、子どもは悪いところばかりでなく、必ず良いところも持っています。
それを親が見つけ出してあげること。それが親の力です。すぐに見つけられれば良いのですが、見つからない時はどうしたらよいでしょう?トリフュ探しよりも難しいかもしれませんよ。

将来の目標もなく、クラブ活動など好きなこともなく、ただ家でゲームの毎日です。試験前も勉強せず、「今の日本はクズばかりだ。将来はバイトでもしてゲームができればいい」と言います。

将来の目標さがしも思春期の難しい課題です。
子ども時代は、サッカー選手になりたい、アイドル歌手になりたいと素朴な夢を抱けましたが、現実が見えてくる思春期には、将来の夢の再構成をしなくてはなりません。そう簡単に見つかるものではありませんね。それまでは、やる気のエンジンもかなり不調のままです。

やらなくてはいけない事は後まわしで、ダラダラ ダラダラ・・・。そのたびに「早くしろ」「やらないでどうするの?」と自分でもイヤになります。放っておけば本当にやりません。どこまで言ったらいいのか、放っといていいのかわかりません。

もう一、度伺います。
放っておけば本当にやらないのですか?
どれくらい放っておきましたか?
30分?
半日?
一週間?
子どものエンジンは、そうすぐに動き出すものではありません。
場合によっては何年もかかることさえあります。
その間、親は焦りまくりますね。
まわりのお子さんは、ビュンビュンとスピード出して進んでますから、うちの子だけ取り残されそうでとても不安です。とりあえず、親のエンジンを差し出せば動くんですけど、本当にそれで良いのでしょうか?

子どもを信じてあげましょう。
親自身の自信が大切になります。
自信=この子はきっと大丈夫に違いない、今はエンストしてるけど、そのうち動き出すに違いない、という肯定的な見通しです。
焦りや不安に負けてしまってはいけません。
あまり近くで見過ぎていると、細かいところが見えてきてどうしても気になります。
少し距離を開けて、薄眼で見ているくらいがちょうどよいのです。
子どもが幼い時は、距離を詰めて、近くからしっかり見てあげないといけません。
思春期は、それとまったく逆になります。

時間の感覚がありません。「あと5分よ」と言っても、焦るわけでもなく、超ゆっくり。結局こちらが焦りまくる毎日です。時計は読めるのに、「あと何分だからこうしよう」と時間の管理ができないのはなぜでしょう?

「時間の感覚失調症」という病気は存在しません。
子どものエンジンはのろのろ、プスプス調子が悪いですね。その姿をじっと観察して、焦りまくる親の気持ちもよくわかります。
でも、根底の部分で子どもを信頼してあげることができれば、焦らず見守ってあげることができます。親の責任じゃありませんね。
遅刻するのも自己責任。成績が下がるのも自己責任。
そうやって、子どもはだんだんとエンジンの調子を上げてゆくことができます。
そうなるまでは、もう少し時間がかかりそうですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿